仁義 – LE CERCLE ROUGE (1970年)

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スタッフ
監督:ジャン・ピエール・メルヴィル
製作:ロベール・ドウフマン
脚本:ジャン・ピエール・メルヴィル
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:エリック・ド・マルサン

キャスト
コレー / アラン・ドロン
ジェンセン / イヴ・モンタン
マッティ警部 / ブールヴィル
サンティ / フランソワ・ペリエ
ヴォージェル / ジャン・マリア・ヴォロンテ
リコ / アンドレ・エキアン
故買屋 / ポール・クローシェ
看守 / ピエール・コレー
監査局長 / ポール・アミオ

日本公開: 1970年
製作国: フランス コロナ・フィルム作品
配給: 東和


あらすじとコメント

前回の「リスボン特急」(1972)でのコンビ、ジャン・ピエール・メルヴィルとアラン・ドロン。そこに持って来てのイヴ・モンタン。内容も「リスボン特急」に似た強奪集団を描いている。とは言いつつ、制作されたのは、こちらが先なのだが。

フランス、マルセイユ。パリ行き夜行列車に、マッティ警部(ブールヴィル)と手錠に繋がれたヴォージェル(ジャン・マリア・ヴォロンテ)が乗車してきた。

二人はコンパートメントに入り、ヴォージェルはベッドの手すりに手錠のまま繋がれたが、やがて警部が寝付くのを待ち、隠し持っていた安全ピンで手錠を外し、窓を蹴破り、脱走してしまう。慌てて列車を急停車させ、すぐさま緊急捜査網を敷くマッティ。

そのころ、マルセイユに程近い刑務所では、模範囚として釈放を目前にしているコレー(アラン・ドロン)がいた。そんな彼に、とある看守が密かに彼を訪れ、大きなヤマを持ちかけて来た。それを断るコレー。

直後、彼は釈放されると、かつての仲間で、自分が収監中に勢力を伸ばし、自分の恋人さえ寝盗った男の元を訪れ、脅迫し金を要求した。

ボスの手下に追われながら、コレーは中古車を買うと、ヴォージェルが逃げている方面へ車を走らせた・・・

寡黙な男たちの犯罪と友情を静かに描くノワール作。

釈放された犯罪者。護送中に脱走する犯罪者。

映画は何の接点もないと思しき二人の行動が並行して描かれる展開。お互いが何の罪状で捕まっていたのかも伺い知れない。

やがて、二人は知り合うが、同じ匂いを感じ行動を共にする。

そこで、看守が持ちかけた犯罪の可能性について話をし、もう一名の仲間が必要との結論に至る。それでイヴ・モンタンの登場だ。

そして、3人で組んで犯行を実行に移して行くという筋書きである。

内容としては手垢のついたものではあるが、そこは流石のメルヴィル。「サムライ」(1967)や「リスボン特急」等、どの監督作品にも共通するのは、寡黙なプロの犯罪者。

本作も然り。メインとなるのは男同志の「あうん」の呼吸であり、極端に台詞が少なく、視線や所作ですべてを語ろうとするスタイル。

そういった男たちを常にくすんだ映像で寄り添うアンリ・ドカエの渋いカメラ・ワークも心に沁みる。

どこか、ドライさが勝る、往年の東映の任侠映画のティストとも呼べようか。

かつて男たちがしびれた世界観。友情というか、仲間意識というか、そこに命を賭す裏街道の男たち。

本作でそれが顕著に描かれるのが、一切、台詞のない犯行シーンである。尤も、これはジュールス・ダッシンの秀作「男の争い」(1655)のパクリと感じたのだが。

全体的に台詞が少なく、同じ嗅覚で集まる男たちの犯行と、その後の展開。

うすら寒さを感じさせるパリや森林でのロケ・シーン。バーレスク的ショー・ダンスが何度も挿入され、異次元感を醸しだす。

あくまで男の目を楽しませるための演出とも言えよう。

それほど、本作では、女性が添え物としてしか描かれない。徹底して貫かれているのは、常に脛に傷持つ男たちの心意気なのである。

警察に情報を流せと執拗に脅かされても、仲間を裏切らないキャバレーのオーナーなど、サブキャラに至るまで、徹底して男の心意気を貫き通す。

しかし、それは裏世界の男たちのみならず、彼らを追う警部も同様なのだ。

仲間を裏切っても自分がのし上がろうとしたり、裏街道の美学を持ち合わさない下っ端たちには、容赦ないほど切り捨てる潔さ。

女性がカギを握らない、あくまでクールな男たち。しかし、誰もが心に隙間風を吹かせる極北さ。

ただし、そういった男たちに安らかな終焉などあり得ない。

余りにもあっけないラストの描き方こそ、真のノワールが宿っていると感じさせる佳作。

余談雑談 2013年6月8日
何だか梅雨らしからぬ日々が続く。そんな中、平日の午前中は、毎日実家である路地裏のタバコ屋の看板オジサンをしている。 そこで過ごしていると、このところ、目立って変化が起きている。 先ず、煙草の売上が増えた。2010年10月に大幅に値上がり、そ