ガン・ファイター – THE LAST SUNSET (1961年)

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スタッフ
監督:ロバート・アルドリッチ
製作:ユージン・フレンク、エドワード・ルイス
脚本:ダルトン・トランボ
撮影:アーネスト・ラズロ
音楽:アーネスト・ゴールド

キャスト
ストリブリング / ロック・ハドソン
オマリー / カーク・ダグラス
ベル / ドロシー・マローン
ブレッケンリッジ / ジョセフ・コットン
ミッシー / キャロル・リンレー
ホッブス / ネヴィル・ブランド
ウィング / レジス・トゥーミィ
ホッブス / ジャック・イーラム
カルヴァートン / ジョン・シェイ

日本公開: 1961年
製作国: アメリカ ブライナ&プロッド・プロ作品
配給: ユニヴァーサル


あらすじとコメント

前回、積極的に不倫に走る建築家役を演じたカーク・ダグラス。恋愛模様やら、人間ドラマと様々なジャンルに出演しているが、どうにもアクの強い印象が勝るので、本作のような作品が一番しっくりと来る。

メキシコ。元南軍将校で、敗戦後、アメリカを棄て、メキシコで牧場を営んでいたブレッケンリッジ(ジョセフ・コットン)は、妻のベル(ドロシー・マローン)と娘のミッシーの三人家族であった。だが、経営が上手く行かず、ついに最後に残った牛1000頭を引き連れ、テキサスに戻り、牛を売却しようと決心した。

それにはカウボーイが必要だと、牛追いの牧童を探しにでていた最中、元カウボーイのオマリー(カーク・ダグラス)がやって来た。彼は、ベルの元恋人であり、現在は、殺人者として保安官から追われる身であった。当然、追い返そうとするベル。

そこに手ぶらでブレッケンリッジが帰宅。何と、オマリーが牧童だと知ると、素情も調べずに雇ってしまう。しかも、オマリーは不敵にも、成功報酬として牛の5分の1と、ベルを寄越せと要求。酔っていたブレッケンブリッジは、冗談だと思い、承諾してしまった。不安を隠しきれないベル。

そこへオマリーを追って、アメリカから保安官のストリブリング(ロック・ハドソン)が逮捕状を持ってやって来た。しかし、ここはメキシコで治外法権の地。

何やら私怨もありそうだが、結局、一緒にテキサスまで牛追いをするすることにし、決着はアメリカでと相成ったが・・・

ギリシャ悲劇を彷彿とさせる、非常に複雑な人間ドラマを絡めた異色西部劇。

凶状持ちの男が、ストーカーよろしく昔の恋人に会いに来る。当然、人妻になっている彼女は困惑するが、考えれば、昔はそんな粗野な男と付き合っていたという、どこか「はすっぱ」なタイプ。

一方の亭主は年の離れた男にして、敗け戦ではあったが、自分は勇敢であったと酒浸りになりながら、懐かしむようなタイプ。

そんな両親を持つ、若いひとり娘は、凶状持ちのワイルドな男に惹かれ始める。

そこに持って来て、凶状持ちを追って来た若き保安官が登場。しかも、単純に職務からだけでなく、私怨が絡んでいる。

とても、ひねった人物設定にして、牛の大移動を敢行して行くが、男が三人では当然、足りないので、他にもカウボーイを雇わなければならない。しかも、行く手では先住民が牛を狙っている。

何とも、盛り沢山な内容である。

監督はロバート・アルドリッチ。彼は本作の7年前にゲーリー・クーパーとバート・ランカスターが共演した佳作「ヴェラクルス」(1954)を撮っている。しかも、ランカスターとダグラスは、別な監督作品で何度も共演している仲。

「ヴェラクルス」はランカスター・プロだし、本作はダグラスのプロダクションという、俳優の自前のプロダクションが絡むのも同じ。舞台はメキシコで、キャラクター設定も『いかにもの悪役』という、どこか、類似性を感じたが、流石のアルドリッチというか、作劇法を敢えて、変えてある。

本作では、ダグラス以外の悪役や、先住民の脅威といった描き方は、派手なガンファイトなり、壮絶な銃撃戦として演出できるのに、わざと外してくるので、

妙なジレンマに陥った。

「ヴェラクルス」を知っていて、派手なアクションを目当てに見ている観客は、完全に肩透かしを食ったはずである。

ということは、本作の白眉はアクションではなく、壮絶な悲劇的人間ドラマとして昇華させようとした点であろう。

だとすれば、脚本家がドルトン・トランボであるのが重要であろうか。「赤狩り」でハリウッドを追われ、やっと復権したころである。

常に自身が受けた境遇を、作品に反映させる脚本家。ゆえに、異色作と呼べる作品になったのだろう。

どの道、ギリシャ悲劇のような設定と進行なので、登場人物の誰に感情移入して良いのか、解らなくなり、何とも、複雑な心境に陥った。

余談雑談 2013年7月13日
あっという間に梅雨明けした。やはり、というべきだろうか。これからは季節が二極化に進むとか。 すると、いきなり天気予報では『酷暑日』を表す「赤い太陽」が登場。そのマークが明後日まで続くのか、と思っていると、翌朝の予報では、また明後日に伸びてい