マッキントッシュの男 – THE MACKINTOSH MAN(1972年)

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スタッフ
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ジョン・ヒューストン
脚本:ウォルター・ヒル
撮影:オズワルド・モリス
音楽:モーリス・ジャール

キャスト
リアディン / ポール・ニューマン
スミス夫人 / ドミニク・サンダ
ウィーラー卿 / ジェームス・メイスン
マッキントッシュ / ハリー・アンドリュース
スレイド / イアン・バネン
ブラウン / マイケル・ホールディン
トレヴェリアン / ナイジェル・パトリック
ブルンスキル刑事 / ピーター・ヴォーン
判事 / ローランド・カルヴァー

日本公開: 1974年
製作国: J・ヒューストン・プロ作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

骨太監督ジョン・ヒューストン。玉石混合の監督ではあるが、本作は彼の独特のタッチと匂いを放つ、後期のスリラー。

イギリス、ロンドン。リアディン(ポール・ニューマン)が、旧知の知り合いであるマッキントッシュ(ハリー・アンドリュース)に、呼ばれてやってきた。

10万ポンド相当のダイヤを盗めという依頼だ。以前と違い、運び屋の手渡しでなく、何と普通郵便で毎回、宛先や大きさを変えて送っているから、簡単であると。連絡役はスミス夫人(ドミニク・サンダ)だ。依頼を受けたリアディンは、いとも簡単に仕事をこなし、彼女にダイヤを渡した。

翌日には海外出国である。ところが、ホテルに戻ると、すぐに警察の訪問を受ける。何と、彼が犯人であるとバレており、すぐさま逮捕され、裁判にかけられしまう。判決は禁固20年で、そのまま収監されるリアディン。

そこにはスパイ容疑で収監されているスレイド(イアン・バネン)や、窃盗犯トレヴェリアン(ナイジェル・パトリック)らがいた。

1年が過ぎたころ、トレヴェリアンから、金さえあれば脱獄出来るという話を聞いて・・・

ひねった設定で謎めいた進行を見せるスリラー作。

当初、ダイヤ強奪泥棒という犯罪映画の態で幕を開ける。しかし、何故か冒頭はジェームス・メイスン演じる野党の国会議員の国家機密問題に関する演説から始まるという不思議。

しかも主人公はすぐに逮捕され収監という展開。ならば、続いては脱獄アクションかと思うと、さにあらず。

ヒューストン監督のヤラシい笑みが見えるようだ。中盤、いよいよ態勢が整い、主人公らが脱獄するあたりから、本作の主軸が見えて来る。

しかし、それでもミステリー要素は続く。とはいえ、それまでに描かれてきた内容の辻褄が合い始め、アクションも加味されてくると、現在でも手を変え品を変えて続く大ヒット・シリーズが重なった。

主人公は、シリーズものと違い、決してセクシーでスマートではないが、女好き。しかも、秘密兵器も登場しない、きわめてリアルな人物像。

だが、他の登場人物らが、一々、そのシリーズの人物に重なるので、ニヤリとした。例えば、本来なら、主人公はリチャード・バートンかリチャード・ハリスあたりだろうが、それなら映画を見る前にネタバレしそうだ。

そこに主役がポール・ニューマンである必要性を感じた。脇を固めるのもドミニク・サンダ以外は、イギリス映画の見慣れたヴェテランばかり。ある意味、いかにも感があるが、そこにまた、ヒューストンらしさを嗅ぎ取った。

ただ、原作の所為かもしれぬが、敢えて、リアルに展開させようとした意図が上滑りしているとも思う。

どこか大雑把であり、端折り感と力づく感が強い作風。それでも、やはりヴェテラン俳優陣の手堅さは堅調であり、中盤でしかでてこないが、ナイジェル・パトリック演じる刑務所内の情報屋的スタンスが、誰の味方なのか分からず、一番眼を引かれた。

当時、中々撮影が出来なかった荒涼としたロケ地の風土とも相まって、ラストは想像が付くにしても、その後味までを含め、薄ら寒さが貫くスリラー作であり、オズワルド・モリスの撮影とモーリス・ジャールの音楽も、その雰囲気を増幅させている。

余談雑談 2013年8月31日
今日は地元で「サンバ・カーニバル」がある。兎に角、40年前は『忘れ去られた観光地』というイメージを払拭するべく、様々なイベントが考えだされ、それは現在でも増え続けている。その一環であったのだろう。 このサンバ・カーニバルは今年で32年目。第