黄金の龍 – GOLDEN SALAMANDER(1949年)

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スタッフ
監督:ロナルド・ニーム
製作:アレクサンダー・ガルバーソン
脚本:ヴィクター・カニング、レスリー・ストーム、R・ニーム
撮影:オズワルド・モリス
音楽:ウィリアム・オーエン

キャスト
レッドファーン / トレヴァー・ハワード
アンナ / アヌーク・エーメ
ランクル / ハーバート・ロム
サラフィス / ウォルター・リラ
アーニョ / ウィルフリッド・ハイド・ホワイト
マックス / ジャック・セルナス
ドゥーヴェ署長 / ユージン・デッカース
アリビ / ピーター・コプレー
ドミニク / マルセル・ポンシャン

日本公開: 1951年
製作国: イギリス R・ニーム・プロ作品
配給: BCFC、NCC


あらすじとコメント

個性派脇役ハーバート・ロム。出演作品は数多く、好きな作品も多いので、どうしても何本も紹介したくなる。今回は地味ながら手堅い印象のいかにものイギリス映画にしてみた。

北アフリカ、チュニジア。地中海に面した小さな港町カバルタに車で向かっていた英国人のレッドファーン(トレヴァー・ハワード)。ところが、折からの豪雨で、土砂崩れが起きて道路が塞がれ、仕方なく車を乗り捨てると、徒歩で向かった。

すると、スリップして横転しているトラックを発見。ドライバーはいなかったが、投げだされた積荷の中に拳銃を発見する。そこにランクル(ハーバート・ロム)と手下のマックスがやって来た。レッドファーンは、触らぬ神に祟りなしとばかり、彼らに気付かれないように林を抜け、カバルタの宿屋に着いた。

彼は、そこの女店員アンナ(アヌーク・エーメ)に予約していたと告げるが、彼女は連絡を受けてないと答える。この町に異邦人は珍しい存在のようだ。怪訝そうな彼女に、彼は言った。

自分は考古学者で、この地にある海底から引き揚げられた古美術品を引き取りに来た者だと・・・

手堅くまとまった、如何にもイギリス映画らしいスリラー映画。

小さな港町にやって来た学術調査員。拳銃密輸に気付くが、自分には関係ないことだと思い含めるような男だ。

ところが、宿屋の女店員に惹かれ、彼女の兄が拳銃密輸に関係していることを知ってから、事態は思わぬ方に向いて行くという内容。

観光地でもない小さな港町に完全なる異邦人が、たったひとり。

冒頭から、密輸団の二人組や、宿屋のしがないピアノ弾き、警察署長、骨董品を管理していた町の実力者等が、次々と登場してくる。

当然、そういった人間たちが物語に絡んでくるのだが、誰がどのスタンスかは意外と早く教えてくれる。

成程、主人公がやがて窮地に陥って行くであろうことは、容易に想像が付く寸法である。

しかし、本作が興味深いのは、観る側にありきたりな展開だと思わせつつも、時々、垣間見させる「以外性」。

更に往年の映画ファンならば、アラブ様式の建物が並ぶアフリカというエキゾティックな場所で、酒場のピアノ弾きや、警察署長が絡んでの恋愛模様が描かれる設定といえば「カサブランカ」(1942)を連想しよう。

それを想起させつつ、いかにものイギリスのスリラー映画にシフトさせていく。何とも、妙味を感じた。

出演者の中では、「マイ・フェア・レディ」(1964)でヒギンズ教授の親友ピカリング大佐役が印象に強い、いつも、飄々として気弱そうなウィルフリッド・ハイド・ホワイトが演じたピアノ弾きが一番の儲け役である。

その他にもクロード・ルルーシェ監督の名作「男と女」(1966)でヒロインを演じたアヌーク・エーメが、別人かのような印象を受ける初々しさを醸しだす演技も、決して上手いとは言えないが新鮮な印象を残す。

また、イギリスの冒険スリラー映画の金字塔「絶壁の彼方に」(1950)で独裁者を演じたウォルター・リラがでて来るのも嬉しい。

本作は、自分も知らない作品であったが、ワンコインDVDとして発売され、期待しないで鑑賞したが、思いの外の作品だったので、小躍りしてしまった。

確かに時代性を感じざるを得ないし、往年のイギリス製スリラー映画に興味がないと、こんなものだろうと感じる作品かもしれぬが、個人的には存外の拾い物だと位置付けする作品。

余談雑談 2013年10月5日
何と今年三度目の沖縄行きが決まった。初期からのこのメルマガの愛読者でもある飲み仲間から、お声が掛かったのだ。 その友人は、沖縄に興味があったものの、今までチャンスに恵まれなかったが、ここで何度も沖縄訪問の話を読み、彼自身も時間が取りやすくな