沖縄に行って来た。今年三度目で、男の三人旅は史上初めて。ひとりは30年近い付き合いで、もうひとりも10年以上で気心は知れている。
総じて、天気はマアマア、気温はそれなり。とはいっても、こちらから行けば半袖で充分だ。一方、現地の方はダウン・ジャケットを着ている人もいる。それこそ、妙な温度差を感じた。
初日は、那覇の国際通りから出発して、3時間近く、一万歩以上の散歩で足にマメが出来たが、他の二名は、どこ吹く風の態。
特に印象的だったのは、「農連市場」という、昭和レトロというか、まるで終戦直後の闇市のようなイメージの場所。有名な観光スポットである牧志公設市場とは違い、現地の方々用の市場。既に商いは終わっており、寂れた感が増幅されていた。
仲間のひとりが、営業していた中古の衣料を全商品一枚500円で売る店を物色。アロハシャツを三枚ほど購入し、支払いを待つ間に、もう一枚に目が止まった。すると店のオバアが「貰って行くね」と。躊躇したようだが、それも500円だ。だが、オバアの意味は違った。プレゼントというのだ。
何とも大らかで心地良い空気感。こちらが、押し売りかと思ったのが恥ずかしかったほど、心豊かな人々。
次の日は、流しのタクシーと交渉して、中部にある海中道路や島々へ6時間のドライブ。東京に9年もいた楽しい運転手で、車中はずっと爆笑の連続であった。
その夜から、現地集合の女性が加わり楽しい宴となるはずだった。ところが、自分が手配した居酒屋が想像以上に不味く、同行者のひとりが、30分程度で店を変えようと言って来た。
目指したのは、何とイタリアンだ。元石窯ピッツア屋の支配人から、かつて自分も通った店から独立して、那覇で活躍している奴が二名いると聞いていた。その店に行った。
しかし、沖縄でもイタリアンか。農連市場と良い、イタリアンと良い、まるで現地在住のような感覚に陥った。
翌日は、合流した女性の目的地である「波の上宮」に朝から出向き、その足で、到着日に行き、全員が気に入った定食屋を再訪問した。
しかし、その店は今年一杯で閉店する。自分は何度も通った店だが、ここでも好きな店は閉店するという、貧乏神の本領発揮かと複雑だ。
続いて、開催していた「離島フェア」に立ち寄り、それから観光バスで「ちゅら海水族館」と充実した一日を過ごせた。それでも、タクシー運転手や、観光バスのガイド嬢が、戦争の歴史や、米軍の存在を話すのには、こちらの人間と違う感情が横たわっているとも痛感した旅でもあった。
今までとは違う体験も出来、ことのほか楽しい旅であった。帰りの空港では、晴天の空に離発着する飛行機を見つつ、生ビールで乾杯。
来年も皆で再訪出来たら良いね、と笑顔で語り合った。
まあ、12月に入ったら、反省会と称して既に、皆で飲み会を予定しているのだが。