余談雑談 2014年1月25日

先週末のこと。長年に渡り、友人でもある映画監督の新作の初日舞台挨拶に行って来た。場所は、東京有楽町の小さいが由緒ある映画館。

映画自体は、既に試写で観ていたので、挨拶の模様だけを見て帰ろうと思っていた。なので、休憩時間にロビーにいた監督に挨拶をしにいった。来場の謝辞を言われ、更に「流石、昭和の映画館は渋い」と笑って言って来た。

何だろうと思ったら、前日になって劇場から連絡が来て、挨拶時に映画の主題曲なりを流したいのなら、CDは対応していませんとの旨だったとか。監督は、MDとか、USBメモリーかと思ったら、何とカセットテープのみだと。

なので、前日慌てて押入れからカセットデッキを取り出し、CDからダビングして持参したと。まるで、自分が行うベータからDVDへの逆パターンだな、と微笑んだ。

逆に、嬉しいじゃないかとも感じた。それでこそ、「昭和の映画館」であると。シネコンと違い、どこか温もりさえある。監督も苦笑いであったが、妙に嬉しそう。

やはり、映画館で映画を観てきたという思い入れのある人間たちには、そういうことですら嬉しいのだろう。

また、監督は、シネコンではなく、その手の劇場で、しかも有楽町という場所で公開できたことが嬉しいとも言っていた。

挨拶後のささやかな「打ち上げ」にも参加を要請されたので、出席した。主演女優と男優の他に、監督の「一家」とも呼べる俳優もお祝いに駆けつけた。

しかし、こちらは製作に携わっていない、どちらというと敵視される側の評論家だ。それでも、製作スタッフたちの苦労話や日本映画業界の現状など、興味深い話も聞けた。

自分も、かなり以前だが、8ミリ映画製作をしていたので、俳優よりも裏方に興味がある。映画のエンド・ロールなど、長いだけで無用と思う人も多いだろうし、現実に席を立つ方も多いのが実情。それでも、彼らには誇りがある。低予算の中で、創意工夫なり、現実に体を酷使しての製作現場。

そういったスタッフたちの熱意が映画全体を支えている。それを再確認出来ただけも、出向いた甲斐があった。

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