幌馬車 – WAGONMASTER(1950年)

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スタッフ
監督:ジョン・フォード
製作:メリアン・C・クーパー、ジョン・フォード
脚本:フランク・S・ニュージェント
撮影:バート・グレノン
音楽:リチャード・ヘイグマン

キャスト
トラヴィス / ベン・ジョンソン
サンデー / ハリー・ケリー Jr
デンヴァー / ジョアン・ドルー
ウィッグス / ワード・ボンド
クレッグ / チャールス・ケンパー
ドク・ホール / アラン・モウブレー
シスター・レイドヤード / ジェーン・ダーウェル
フィフィー / ルース・クリフォード
フロイド / ジェームス・アーネス

日本公開: 1951年
製作国: アメリカ アルゴシー・プロ作品
配給: 日本RKO


あらすじとコメント

晩年に名優と認知されたベン・ジョンソン。若かりしき頃はその他多勢のひとりという印象だが、何をどうして、ちゃんと主役を張った作品もある。しかも、監督は、かのジョン・フォード。佳作といわないが、こじんまりとした小品。

アメリカ、ニュー・メキシコ馬を売るためトラヴィス(ベン・ジョンソン)とサンディ(ハリー・ケリー Jr)が、とある町にやって来た。その直前、町で強盗射殺事件が起きていて、保安官に怪訝そうに見られるが、臆することなく商談をすすめようとするトラヴィス。

一番最初に応じてきたのはウィッグス(ワード・ボンド)だ。一頭50ドルという法外な値段を吹っ掛けるトラヴィスに、いとも簡単に応じる。どうやら別の目的があるようだ。

すぐにウィッグスは、自分がモルモン教徒で仲間を引き連れてナバホに行きたいので、100ドルで道案内を頼むと依頼してきた。しかし、そこは前人未到の土地であり、馬車を引き連れての移動など無理だと断るトラヴィス。モルモン教徒たちは町でも嫌われ者らしく、翌早朝に町をでなければならなかったのだ。

仕方なく、自分らだけで出発を決めるウィグスだったが、彼にはトラヴィスが協力してくれるという自信があった・・・

『約束の地』を目指して辛酸甘苦しながら大移動する幌馬車隊を描くウエスタン作品。

戒律が厳しいモルモン教徒の一行が、遥か遠くの地を目指して進む話に加わる主人公二人。

道なき道を女子供が大勢な先発隊を先導していくのだが、途中、酒浸りのダンス・ショーの巡業中の男女三名を拾ったり、やがて強盗団や先住民が絡んで来るという、いかにもの展開。

目新しさは何もないのだが、そこはジョン・フォード。モニュメント・ヴァレーの美しく雄大な大自然を背景に、メリハリの効いたサスペンス・シーンを織り込み進行して行く。

正に古き良き時代の大らかなアメリカ映画的作劇。ただ、些かフォード作品としては物足りなさが残るのも事実。

それは全体的にキャストの弱さによるものが大きい。堅実といえばそれまでだが、どうにも華がないのだ。

その上、大きなアクション場面はなく、先住民ナバホ族とのシークエンスも、派手な戦闘場面を期待すると肩透かしを喰らう。

しかし、それは幌馬車隊の一行がモルモン教徒であるということに起因するのだろう。一切の争いを認めない人間たちなので、銃も持参していない。

つまり拳銃を持っているのは主人公二人のみ。そこに六名の強盗団が同行してくる。冒頭の襲撃場面で、彼らが残忍非道であると描かれるので、どこで彼らの本性が顕わになるのかというサスペンスが喚起される。

そして、まったく期待を裏切らない展開と相成るのだが、そこも、どうにもご都合主義が先行するという印象。

雄大な自然の中をゆく幌馬車隊の画面はアメリカという国土の大きさを感じさせてくれるので、そのあたりにはスケール感がある。

主人公二人の色恋も絡んで、飽きさせない作劇なので期待は裏切られはしない。

ある意味、正に『自由の国アメリカ』を凝縮した登場人物たちに、逆に強さと弱さを併せ持つしかない国という、うがった見方も出来ようか。

どちらかというと封切り用の派手な宣伝をして煽るタイプではなく、三本立てか、昼下がりのTV洋画劇場で肩肘張らずに楽しむ作品と位置付けしたい。

それでも、派手さこそないものの、名匠フォードらしい詩情豊さは、きっちりと感じさせ、小品ながらも忘れ難い作品でもある。

余談雑談 2014年3月1日
少し春めいてきたか。何て、考えていると肩透かしを喰らう。この数日、暖かいので、そう感じるが、またもや、東京は寒くなる模様。三寒四温ということなのだろうか。 そう言えば、日本が寒いときヨーロッパは暖冬なのだとか。つい、先立て、イタリアに旅行に