先立て、3回目の『3・11』を迎えた。メディアでは、様々な回顧、先見特集があった。皆、それぞれに感じるところがあるだろう。
ここ一、二年で知り合った人間とは、あの時どこで何をしていたかで、当時の嫌な体験が呼び起される。
味わった恐怖感が、共通の話題なのは何とも嫌な感じではあるのだが、それこそ、誰もが様々な体験をしていた。
自分は、あの体験で捨てることを学んだ。40年以上に渡り、溜めるだけ溜め、所持していたことさえ忘れていた品々。あの日、自室に居て、地震など想定せずに、うず高く山積みしていたDVDやら、ガラス製品が飛び散るのを茫然と見ているしかできなかった。
以後、長年、生きがいのように感じていた、物欲と収集癖に変化が起きた。それから気が向くと手つかずの押し入れや段ボール箱に無造作に入れていた品々を廃棄するようになった。
結果、随分とスッキリしてきた。開けると崩れ落ちそうだった戸棚や、人目に付かないからと、ベッドの下で埃まみれになっていた雑誌など。何だか、部屋の酸素量も多くなったような気がする。
で、次に処分するのは決まっている。ついに故障した、中古で買った二台目のベータのビデオ・デッキである。
まだ、ダビングして残したい映画が50タイトルほど残っている。しかし、予算の関係で、再購入を控えたままである。
平素、何もしていない自分への褒美など、あり得ないのだが、それでもテープが無くなれば、更に、人が来るたびに、一々、移動していたものもしまえそうだ。
来月から消費税も変われば、例え中古品でも価格が変わるに違いない。自動車はおろか、自転車も所持していないし、大型家電も必要がない。
さて、ここは意を決して、三台目のベータデッキを買うことにするか。