余談雑談 2014年4月12日

春爛漫である。櫻は見事に散ったが、それでも眼下の名所では、未だに花見と称する宴会をしている輩がいる。

朝晩の冷え込みは、かなりなのだが、それでも嬌声が夜遅くまで聞こえる。風邪などひかないか気になるが、そもそも、そういう声で楽しんでいるのは若い人たちだ。ならば風邪のひとつも怖くはないのだろう。

若いと言えば、実家のタバコ屋の前にある元八百屋。そこには、60半ばの女性と90歳近い義母が住んでいるが、時々小さな子が出入りする。お孫さんだ。

店自体は、町なかの商店として、かなり頑張っていたが、昨年、突然、閉店した。

先立ての暖かな午前中、そこのお孫さんが、幼稚園の制服を着て、はしゃいでいた。目を細めながら、心配げにオバチャンが出てきた。あいさつを交わすと、「ほら、タバコ屋のおじさんにご挨拶しなさい」とオバチャン。

どうやら、この春から幼稚園に上がった模様で、制服が真新しくて眩しい。こちらも目を細めてみ見ていたら、あまり似てはいないが、その子の父親が、同じ制服を着ていたことを思い出した。

彼は、若い頃は、かなりやんちゃで、何度か警察のご厄介になっている。当然というか、家業を継がずにレゲエ系ミュージシャンの道を選んだ。それでも、この数年は、似合わない格好で、眠たそうな顔して、朝、台車に野菜を積み近くに配達をしていた。

そんな八百屋が閉店して約一年。晴天の下、その子は元気に走り回っていた。

時代は流れる。自分にも満開の櫻の下で大騒ぎした思い出もあるし、警察沙汰ほどではないが、多少のやんちゃをした経験もある。

転びそうになりながら、走る男児の姿に「車に気を付けるんだぞ」と声を掛けた。

櫻は散ったが、これからその子は何回満開の桜を見るのだろうか。

やはり、若い子には敵わない。

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