スタッフ
監督:ジョン・スタージェス
製作:ハル・B・ウォリス、ポール・ネイサン
脚本:ジェームス・ポー
撮影:チャールス・ラング
音楽:ディミトリ・ティオムキン
キャスト
モーガン / カーク・ダグラス
ベルデン / アンソニー・クィン
リンダ / キャロリン・ジョーンズ
リック / アール・ホリマン
スミサーズ / ブライアン・ハットン
ビーロ / ブラッド・デクスター
キャサリン / ジーラ・ロダン
スキャッグ / ビング・ラッセル
バートレット保安官 / ウォルター・サンド
日本公開: 1959年
製作国: アメリカ、ハル・ウォリス・プロ作品
配給: パラマウント
あらすじとコメント
今回もアンソニー・クィン出演の西部劇。性格俳優らしい、複雑な人物設定の敵役であり、父親としての苦悩を表現した役どころ。監督はジョン・スタージェスで、彼の『決闘三部作』と呼ばれる一本。
アメリカ、オクラホマまだ殺伐とした空気が残る20世紀初頭のこと。そんな中、ポーニーという町は、名保安官モーガン(カーク・ダグラス)のお陰で、平和な町として知られていた。
ある日曜日、町外れの森にテキサスのガン・ヒルから遊びに来ていたカウボーイの若者二名がいた。彼らは近くを通りかかった先住民の美しい女性と、白人とのハーフの息子を認めた。酒に酔ったカウボーイのリック(アール・ホリマン)は、からかい半分で女性にちょっかいをだした。しかし、女性は恐怖を感じ、思わず馬用の鞭で彼の顔を打ったことから激昂し、彼女を襲い、挙句に殺してしまう。そのさなか、彼女の息子はリックの馬を盗むと町へ助けを呼びに行った。
殺害された先住民の女性はモーガンの妻で、命からがら逃げてきたのは、彼らの息子だった。モーガンは、すぐに森へ行くが、見つけたのは愛妻の無残な姿だった。町は大騒ぎになるが、モーガンは息子が乗って来た馬の豪華な鞍を見てつぶやく。この持ち主を知っている、と。
彼は、すぐさまその鞍を持ち、持ち主である旧友ベルデン(アンソニークィン)がいるガン・ヒル行きの列車に乗った・・・
友情と父親としてのジレンマに揺れる男二人の対象的な姿を描く娯楽西部劇。
妻を殺され、私怨に燃える保安官。かなり腕の立つガンマンでもあるが、自分が平和にした町では、その腕前は単なる伝説になっている。方や、妻に死なれ、ひとり息子を溺愛する旧友。
しかも、その旧友は、一代で大牧場を形成し、議会からホテル経営、つまりガン・ヒルの町全部を牛耳っている大立役者でもある。
そこへ単身、乗り込む主人公。町に到着した瞬間から、完全アウェーで、誰ひとり主人公に味方するものはいない。
そんな彼を、唯一、気にかけるのが列車で知り合った美人。どうやら、旧友と面識があるようだ。しかし、所詮、女性であり、表だって協力は出来そうにもない。
そんな主人公が、真犯人が旧友自身ではなく、彼のひとリ息子だと知りホッとするが、是が非でも、その息子を探しだし、ガン・ヒル発の最終列車で連行すると旧友に宣言する。
バカ息子に業を煮やしながらも、何とか助けたい父親。一方で、妻を殺された主人公。
とはいえ、残念なことに、そこは製作された時代性がある。ある意味、単純明朗な作りで、登場人物の優劣は既に決しているのだ。
すぐに息子を逮捕するが、最終列車まで町のホテルの一室に籠城するしかない主人公。
息子を取り返そうとする旧友一団と逃げた、もう一人の共犯者も絡んできたりと、そこは王道の作りで、流石のスタージェス演出。
メリハリの付いた作劇で、ある意味、定石通りに進行する。
ただ、友情と親として甘やかして育てた息子に対する己のジレンマに陥るアンソニークィンに分があり、単純な決着は迎えないだろうと推察が付く。
そのあたりをどういう落とし所に持って行くがが、スタージェス節の上手さであろう。
完全アウェーでホテルが登場する設定は、本作前に製作された佳作「決断の3時10分」(1957)のパクリであり、進行自体、あちらに軍配が上がるのが残念。
友情と父親としてのジレンマに陥る設定も使い古されたもので、どうしても、うがった見方をしてしまう。
製作され、公開された時代には未見であり、何故、これがスタージェス監督の『決闘三部作』と呼ばれたのかが疑問に残る。
監督としては、かなり面白い作品群が他にあるので、どうしても、首をかしげてしまう作品。