左眼の手術が終わって一週間。ドクターから成功だ、とお墨付きが出た。これでやっと、洗顔と洗髪がOK。
病院から戻ると、嬉しくて、早々に浴室に向かった。頭からシャワーを浴びれる快感。まして、『冷夏』予想から一転、『厳しい暑さ』となった今年の夏。
それまでは、術後の眼には、水も汗も禁物なので、暑い時間は外出せず、室内では冷房三昧で過ごした。ところが小心者ゆえ、電気代が今から恐怖でもあったのだが。
その夜は、この際、暑さも良いかと窓を開け放って寝た。まあ、当然と言えば当然だが、流石に暑くて、夜も明けきらぬ早朝に目が覚めた。
若干、夜明けが遅くなったと思いながら、PCに向かっていたら、セミが「ビービー」と鳴きながら、窓から飛び込んできた。
ヒヤッとしたが、窓際の観葉植物にぶつかると踵を返し、そのまま外へ飛び出た。『飛んで火に入る』ではないが、ホッとした。しかし、毎年、夏は9階の自室に、一度は飛び込んでくるセミ。
もしかして、今年の奴は、手術の成功を祝いに来たのだろうか。
でも、来週は右眼の手術が待っている。それから一週間は、また洗顔と洗髪が出来ぬ。となると、その苦行から解放されるのはお盆のころだな。
また、セミが飛び込んでくるのだろうか。まさか、同じセミじゃないよな。寿命は一週間だというし。
それに引き換え、自分は医学の進歩により、また、目から鱗状態で、新たな人生が歩める。何とも、幸せじゃないか。
でも、それにしても、今年の夏も暑いよな。
