いよいよ自分が企画した本が出版されることになった。とはいっても、映画関連ではない。
「ぷちバス散歩 ~休日はコミュニティバスにのって~」というタイトルで、11月4日発売。
東京23区には、一回100円、乗降自由の一日乗車券でも300円程度で乗れる小さなバスを各自治体が走らせているが、それを網羅した本はなかった。
縦割り行政では当然だが、通りを挟んで向こう側に100円バス停があるが、別な自治体ゆえ、関連情報はない。
なので、契約編集者の身分でありながら、会議に出て、何かアイディアを、と命じられ、思い付きで提出した企画。
それがトントン拍子に、といいたいところだが、そこは紙媒体が絶不調のご時世。しかも、自分が出入りしているのはコミック専門の関連子会社で、ガイドや書籍は未経験。上司の担当役員も変わったばかりだった。
何せ、初めて尽し。しかもコミックとは全く違う許認可と進行。親会社も大手出版社とはいえ、驚く程の低予算が提示されたのも、ご時世だろう。
何よりも困ったのは、原稿を書いたり、コミックの編集助手経験はあるものの、一から全部を作ったことがないこと。
つまり、企画を出した自分が、まったく、製作ノウハウに疎いということだった。なので、ベテランの下請けさんに全権依頼。
その方も、あまりの低予算に驚いていたが、そこはプロ。更に、イラストレーターやデザイナーにも破格のギャラで交渉してくれて、何とか完成した。
要は、自分は企画しただけ。あとは、少し訂正や編集をしただけなので、自分の本という感じはない。
そもそも親会社の担当者も、東京23区の小さなバス路線限定ガイド本なので、東京のみでの扱いだねと、完全に地域限定での発売。ゆえに発売部数も少ないから低予算なのね。
ところが、諸経費から算出された定価には絶句した。通常イメージするガイド本の価格からすると、全ページがカラーでもないし、内容もぎっちりと詰まった感もないのに、この価格かと。
その道のプロからすると、かなり低予算で困ったでしょうと苦笑されるだろう。それでも、下請けさんは頑張ってくれて成就したガイド本。
少しは売れてくれると良いのだが。まあ、こちらは印税が入るわけでもないが、増刷がかかれば、少しは下請けさんらに支払われるから、ある程度は売れて、彼らの懐に少しでも協力したいものだ。あれほど頑張ってくれたのだから。
もし売れたら、第二弾を、と下請けさんも仰る。でもな、そういうのを、とらぬ狸の何とやら、とか言うんだよな。