馬上の二人 – TWO RIDE TOGETHER(1961)

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スタッフ
監督:ジョン・フォード
製作:スタン・シュペトナー、ジョン・フォード
脚本:フランク・ニュージェント
撮影:チャールス・ロートン Jr
音楽:ジョージ・ダニング

キャスト
マッケィヴ / ジェームス・スチュワート
ゲイリー中尉 / リチャード・ウィドマーク
エレナ / リンダ・クリスタル
マーティ / シャーリー・ジョーンズ
ポージー軍曹 / アンディ・ディヴァイン
フレイザー少佐 / ジョン・マッキンタイア
ベル / アネッラ・ヘイズ
オルソー / ハリー・ケリー Jr
ランニング・ウルフ / デヴィッド・ケント

日本公開: 1961年
製作国: アメリカ J・フォード・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

今回もジェームス・スチュワート主演の西部劇。前回同様、どこか人間嫌いの主人公を演じた作品で、監督はジョン・フォード。

アメリカ、テキサスとある町で保安官をしているマッケイヴ(ジェームス・スチュワート)を訪ねて、旧友のゲーリー中尉(リチャード・ウィドマーク)率いる騎兵隊がやってきた。

再会を懐かしむ二人だが、中尉には目的があった。マッケイヴを自分らが駐屯する60キロ離れた砦に連れて行こうというのだ。訝しがるマッケイヴだが、酒場を経営する勝気な恋人のベルから求婚されており、今ひとつ乗り気でない彼は、頭を冷やすつもりで、理由も尋かずに同行することにした。

砦に着くと、多くの民間人がいて、彼を見るなり、まるで神でも崇めるように迎えた。驚くマッケイヴだが、すぐに司令官のフレイザー少佐(ジョン・マッキンタイア)に呼ばれ、要件を伝えられた。長年に渡り、コマンチ族に誘拐された子供たちを見つけだし、連れ戻してくれと。民間人たちは、その家族だったのだ。

しかし、彼は、危険すぎると断った・・・

それぞれが持つ人間の身勝手さをあぶりだす異色の西部劇。

名ガンマンでもあり、かつてコマンチ族と交易経験がある保安官。しかし、加齢でセミ・リタイア状態。

つまり、今更、切った張ったの人生など真っ平という設定の主人公なのだ。

そんな男を利用しようとする政府側。何故なら、コマンチ族とは和平協定が締結されており、騎兵隊員が領地に入るのはご法度であるから。

しかも、臨時雇用としての徴用であり、命令権は旧友の中尉であり、且つ薄給。老後を考え、街の店から上がりの一割を用心棒代としてせしめている主人公が驚くのも無理はない。

つまり、まったくやる気がないのだ。しかも、子供時代に連れ去られ。長年経っていれば、どのような青年らになるかは想像に難くない。少女であれば、14、5歳で妻にされる。

ところが、連れ去れた家族は、かつて、自分たちの不注意なり、隙から拉致されているので、自分らを責め続け、幼少期の面影を重ねている。

しかし、現実は残酷だと知っている主人公。騎兵隊側も知っているが、表立っては言わない。

そうは言っても、要望がある以上、何とかするふりはせねばならぬ。

それぞれの大人の事情。悲劇は、常に何も知らぬ市井の人間たちに覆い被さるのだ。

何とも感情移入しづらい主人公をスチュワートが好演。それを受けて立つウィドマークの演技も素晴らしい。

映画は、何とかコマンチから、白人と思しき二人を連れ帰るが、それ以降の展開は胸が痛くなる。

十数年ぶりに帰還した青年が誰の子どもなのか。自分はアパッチだと叫び続け、英語は全く話さない青年だ。

これが実状だと突きつけられた民間人らには、どのような心境の変化が訪れるのか。

また、コマンチの妻だった女性は、白人社会に戻り、どのような心情に陥るのか。

『白人であることが優越』ということが心の奥底にある『大人たち』の価値観では、立場や環境で、優劣を暗黙の内に付けたがる。

そういった人間のエゴを知り抜いていた主人公。否や、彼の旧友も知っている。

しかし、ストレートにそれをだして生きてきた保安官と、軍隊という規律と上下関係の中で生きてきた人間の違い。

素直ということは、情報量がないために、多角的に比べようがなかった市井の人間こそ、単純に残酷になるという描き方。

ある意味、主人公がとってきた姿こそ、人間が持つ本来の心情。それを冒頭から、素直にだすからこそ、感情移入しづらかったのだ。

しかし、終盤になると、こちらの『大人なんだから』という、偽善的な考えの後ろめたさを突いてくる。

アクションもなく、詩情溢れる作風でもない。しかし、これもフォード節であることに間違いはない。

余談雑談 2014年12月6日
もう師走だ。先立て、先月初めに出版されたガイド本のギャラが決まった。想定してた金額より少なかったのは、売れて増刷される見込みもなく、数多く反省点もあるので、上司のお情けによる適度な上乗せがなかったのも当然だろう。 さて、一応のお祝いに高い割