正月休みも終わったと思ったら、またもや連休である。こちらはタバコ屋の店番がメインなので、大勢に影響はない。
そんな日常ではあるが、流石に正月は自販機のみで、店頭販売はクローズにしていた。となれば、時間は有り余るほどある。
映画好きならDVDレンタルだろうが、天邪鬼な自分は、そもそも嗜好に合った映画など置いてないから行きはしない。そういう時のためのビデオからDVDにダビングした映画である。
リスト化した中から、チェックを入れ鑑賞作品をチョイスした。
続け様に鑑賞していて、わが耳を疑った。白内障が改善されたからでもなかろうが、寄る年波の所為か、どうも聞き間違いが多くなったのかもしれない。
古い邦画で登場した台詞なのだが、「紺屋の白袴(こうやのしろばかま)」が「荒野のシロ(白人)はバカ」に聞こえたのだ。その前に、西部劇を見ていたからか、一瞬、呆気にとられた。
しかし、自身の空耳とは違い、明らかにTVキャスターの発音アクセントが、以前とは異なると感じることがある。
例えば、百貨店の「松屋デパート」の発音が、牛丼チェーン「松屋」と同じなのだ。
同じ字だし、何がおかしいと言われればそれまでだが、聞き馴染んで来たアクセントでなければ、一応の百貨店を安い牛丼屋と同じイメージでは聞きたくない。
言葉は変わるし、発音だってそうだろう。ただ、寂しく感じるのは、完全に失われた聞き慣れた方言である『江戸弁』の懐かしさ。昔は、ご老人など、当然のように話し、町のそこかしこから聞こえていた。聞き慣れた「松屋」という発音自体が江戸弁とは言うまい。
そのうち「松屋」の発音でさえ、こちらが間違った発音をしていると受け取られるのか。確かに、小学校時代、先生に発音を直されていた友達らの記憶がある。
そうやって、画一化されていく。それでも、先立て訪れた門司や山陰でも、馴染みのない方言で話す人が多くいて、何とも羨ましかった。
だからか、たまに聞く江戸弁の落語に、言いようのない絶望感を覚える。頑張っているが、勉強して覚えた態の『江戸弁』なのである。
要は、こちらの心に、ストンと落ちてきやしない。
新年早々、昔を懐かしんでの愚痴なんざ、今年も、どうにも後ろ向きという証左か。