ポケットマネー(未) – POCKET MONEY(1972年)

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スタッフ
監督:スチュワート・ローゼンバーグ
製作:ジョン・フォアマン
脚本:テレンス・マリック  原作:J・P・S・ブラウン
撮影:ラズロ・コヴァックス


キャスト
ケイン / ポール・ニューマン
レオナルド / リー・マーヴィン
ギャレット / ストローサー・マーティン
ラッセル / ウェイン・ロジャース
ジュアン / ヘクター・エリゾンド
アデリータ / クリスティーヌ・ベルフォード
元妻 / ケリー・ジーン・ピータース
シャヴァリン / グレゴリー・シェラ
アメリカ人囚人 / マット・クラーク

日本公開: 未公開
製作国: アメリカ ファースト・アーティスツ作品
配給: なし


あらすじとコメント

前回の「最前線物語」「1980」でヴェテラン軍曹を演じた個性派俳優リー・マーヴィン。ハンフリー・ボガート以降、ハード・ボイルド系で熱烈なファンを持つ俳優だと認知する。今回も彼の出演作品にして、相手役はポール・ニューマン、脚本にはテレンス・マリックの名が連なる。さてさて、一部のファンには期待が高まるかもしれないが、何故、劇場未公開となったのだろうか。

アメリカ、テキサス馬の仲買人ケイン(ポール・ニューマン)は、自分が売却しようとした馬たちが病気であることが判明し、競売参加を延期させられた。全財産を注ぎ込んでいただけに八方塞りに陥ってしまうケイン。

見かねた大ヴェテランの先輩が、自分の後継者にならないかと勧めるが、まだまだ若輩者だと辞退するようなタイプでもある。とはいえ、中年に差しかかり、自宅も持たず、浮き草稼業として生きてきた割には、どこか投げやりな雰囲気も漂う。

そんなケインに、仲買仲間が近寄ってきた。メキシコに行って350頭の闘牛用の牛を購入して来てほしいという金持ちがいると。ビッグ・チャンスだと直感するケインだが、牛はまったくの門外漢だ。思い悩む彼は、直接、依頼者と会いたいと言い、ギャレット(ストローサー・マーティン)という男と交渉に入った。

大ヴェテランの先輩は胡散臭いからと辞退するように進言したが、何せ、生活費すらない立場。結局、依頼を受けると頭金をもらい、メキシコに乗り込んだ。

スペイン語を話せない彼は、旧友のレナード(リー・マーヴィン)を探しだしたが・・・

哀愁漂う中年男たちの関わり合いを描くロード・ムーヴィー的人間ドラマ。

行き当たり場当たり的な人生を過ごしてきた男。方や、そこそこの経験値があるが、やはり場当たり的で、頭は切れそうにない旧友。

そんな二人が、詐欺かもしれぬ話を信じ、異国の地で牛を調達し、アメリカまで運ぼうとする内容。

アメリカン・ニュー・シネマの流れを汲む作品であるのだが、些か趣が違う。

要は、何も若者だけが『自分探し』をするのではなく、中年だって思い悩むというか、漫然とした経験値があるからこそ、探したくもない自分のことを棚に上げ、『大人の余裕』として適当に流したいが、日々、人生は廻っているということを描いていく作品。

思い付きや、ひらめきで行動する主人公は、その生き様自体が、自分の首を絞めていると感付いているが、今更、変更など出来はずがないとあきらめている。

面倒くさがり屋にして、浅はか。時折、真摯に考えようとはするが、結局、短絡的にしか物事を捉えられないタイプだ。

だからこそ、幾ばくかは彼より経験値があるものの、どうにも頼りにならない相棒と組める。

前提となっているのは、どちらも『身勝手』な中年男であるということ。つまり、タイプこそ違え、負け犬になるべくして負け犬になったコンビ。

何かドラマティックなことでも起きるのか、と思って鑑賞して行っても、何も起こらない。淡々と、やさぐれ中年男たちの『分をわきまえた』成功への道程を追っていくだけ。

雰囲気は、どこか「スケアクロウ」(1973)的なロード・ムーヴィーという印象。

制作されたのは本作の方が先だが、このような内容では、流石にポール・ニューマンとリー・マーヴィンという渋い役者の共演であるが、興行収入は見込めないとお蔵入りになったのだろうか。

事実、ビデオ発売され、観たのは本作の方が「スケアクロウ」より後である。

監督はスチュワート・ローゼンバーグ。ニューマンとは、本作以前に「暴力脱獄」(1967)という渋い秀作を発表し、以後もニューマンの当たり役である私立探偵ハーパー・シリーズの「新・動く標的」(1975)も手掛けている。

他にも、個人的に好きなウォルター・マッソー主演の「笑う警官/マシンガン・パニック」(1973)や、南米でテロリストに拉致された兄を米政府の勧告を無視して、たった一人のプロの傭兵を頼りに、救出に向かう弟らの素人集団を扱った地味な佳作「ハリー奪還」(1986)といった作品を輩出している。

ゆえに、本作も決して嫌いな作品ではない。ただ、良くぞ、このような大した起伏もない作品を作ったという意味で、であるが。

余談雑談 2015年2月7日
先週末のこと。行きつけの店のある新橋まで飲みに出向いた。平日はサラリーマンの聖地であり、どの店も電車も混雑しているので、余程のことがない限り行きはしないので、基本ハシゴ酒になる。 先ず、一軒目。小さな「もつ焼き屋」へ。何よりも新鮮な豚の内臓