リオの男 – L’HOMME DE RIO(1956年)

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スタッフ
監督:フィリップ・ド・ブロカ
制作:アレクサンドル・ムーシュキン、D・ダンシジェール
脚本:J・ポール・ラプノー、ダニエル・ムーランジュ、他
撮影:エドモン・シェサン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー

キャスト
デュフルケ / ジャン・ポール・ベルモンド
アニエス / フランソワーズ・ドルレアック
カタラン教授 / ジャン・セルヴェ
ローラ / シモーヌ・ルナン
ディ・カストロ / アドルフォ・チェリ
ウィンストン卿 / ウラビシィ・デ・オリヴェイラ
チュパック / ミルトン・リベイロ
警部 / ダニエル・チェッカルディ
ルベル / ロジャー・デュマス

日本公開: 1964年
製作国: フランス レ・フィルム・アリアーヌ作品
配給: 東和

あらすじとコメント

ジャン・ポール・ベルモンド。今回はノワール作品ではなく、実に軽快な、彼の体を張ったアクションも楽しめるコメディ作品。

フランス、パリ一週間の休暇でやってきた兵隊のデュフルケ(ジャン・ポール・ベルモンド)は、仲間らと別れると、恋人アニエス(フランソワーズ・ドルレアック)の家に急行した。

ところが、彼の到着直前、博物館から南米のテラコッタ小像が盗まれる事件が起き、警察が彼女の家にやってきていたのだった。彼女の父親は三年前に変死しており、南米で一緒に小像を見つけたカタラン博士(ジャン・セルヴェ)も、直前に誘拐されていた。警察は彼女が何らかの情報を知っているとみて、調査に来ていた矢先のデュフルケの訪問だったのだ。

短い休暇をすぐにでも二人だけで過ごしたいと願う彼の眼前で、アニエスが謎の男らに拉致されてしまい・・・

リズミカルなテンポで一気に見せるコメディ・アクションにして、以後、様々な作品に影響を与えた佳作。

何やら巨大な陰謀に巻き込まれた恋人を追って、あれよあれよとブラジルに乗り込んでしまう主人公。恋人はどうやら催眠術にかかっているらしく、無表情のまま。

パスポートも航空券もなく飛行機にまで乗り込む主人公。

完全にコメディで、超ご都合主義。しかし、そんなことを考えさせまいと、次から次へと数珠繋ぎな展開をテンポ良く捌いて行き、いきなりブラジルのリオ・デ・ジャネイロに到着。

そこからも、間近まで恋人に近づくが、都度、引き離されたり、凶暴な用心棒にぶっ飛ばされたり。

ベルモンドは陸海空と、体を思い切り張ったアクションを身軽に演じていく。

ジャッキー・チャンは、完全に監督のフィリップ・ド・ブロカとベルモンドが組んだ本作と「カトマンズの男」(1965)の影響を受けているというか、完全にコピーであり、日本の漫画とアニメでお馴染みの「ルパン3世」の主人公も本作のベルモンドそのもの。証左に、ルパンもベルモンドも、当時、声優は、これぞハマリ役の山田康雄。

まあ、様々な影響を与えているとはいうものの、何も、この手の主役が体を張った冷や冷やするアクションを繰り広げるのは、ベルモンドが初めてではなく、サイレント時代のバスター・キートンが走り。

ただ、フランス映画のエスプリとド・ブロカ監督の独特の軽妙なるタッチが、当意即妙さを醸しだしているのが、当時、世界中の人間たちに強いインパクトを与えたのだろう。

ストーリィとしても古代部族の小像三体が重要な意味を成し、まるで「インディ・ジョーンズ」シリーズのような、大冒険というか、血沸き肉躍る御伽噺になっている。

これらを取っても、本作がいかにその後の映画なり、漫画に影響を与えたことが推察できよう。

まるで、漫画的物語を、敢えて、『洒落』として描く。CGなど用いず、あくまでスタッフ、キャストの力量で押し通す。

それも、実際にブラジルやアマゾンにまでロケを敢行する。

だからこその、ポジティヴ・アクション・コメディとして、見事に昇華していると感じざるを得ない作品である。

余談雑談 2015年6月13日
今週、東京も梅雨に入った。何だか、「観測史上初」やら「例年とは異なり」といった言葉が頻繁に聞こえるようになったが、蓋を開ければ梅雨入りは『平年並み』の日。さてさて、今年はどんな梅雨になるのか。 それでも個人的に嬉しい『梅雨』のニュースも入っ