スタッフ
監督:ルイス・マイルストン
制作:ロバート・バスター
脚本:マイケル・ブランクフォード
撮影:ウィントン・C・ホック、 ハリー・ジャクソン
音楽:ソル・カプラン
キャスト
アンダーソン少尉 / リチャード・ウィドマーク
レーン / ジャック・パランス
ジョーンズ衛生兵 / カール・マルデン
ジョンソン軍曹 / レジナルド・ガーディナー
コフマン / ロバート・ワグナー
コンロイ / リチャード・ヒルトン
ギルフラン中佐 / リチャード・ブーン
ゼレンコ軍曹 / ネヴィル・ブランド
デッカーマン記者 / ジャック・ウエッブ
日本公開: 1965年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
名脇役と称されるカール・マルデンが、器用な俳優リチャード・ウィドマークと四本共演した中の一作。日本軍とのハードな戦いを描く、良くできた戦争作品。
南太平洋、某島第二次大戦たけなわの頃。ガダルカナル島を攻略したアメリカ海兵隊は、日本軍が守備する島への上陸作戦を敢行しようとしていた。
ところが島にいる日本軍の詳しい情報が掴めず、司令官は日本兵の捕虜確保を命令した。その中に元高校教師アンダーソン少尉(リチャード・ウィドマーク)が率いる中隊もいた。しかし、彼は度重なる激戦で疲弊し、緊張すると偏頭痛が起きる体質になっていた。それを知っているのは長年の相棒ジョーンズ衛生兵(カール・マルデン)だけである。
それでも職務を全うしないといけない少尉の隊には、激戦の生き残りが、僅か十名程度。あとは全員戦死していた。
彼らは、今度こそ命を落とすかもしれぬという恐怖に駆られながら、上陸を開始した・・・
日本軍が悪く描かれない、当時としては珍しい戦争映画。
偏頭痛持ちの隊長。かつての教え子で、神経衰弱気味の若者には、特段、目をかけている。
また、虚勢を張る若僧を、終戦後はマネージャーにしてやるから、一緒に全米を旅しようと励ましている元ボクサーがいたり、他にも、密造酒など作りながらテキトーに軍隊生活をやり過ごしているが、戦場では絶対的な力量を発揮する古参兵などがいる。
ストーリィとしては、上陸後、内陸部へ進行しだすと、突如、敵からロケット弾攻撃があり、事前に情報がなかったため、戦車隊を含めて大打撃を受け、前進ができなくなるという展開。
平原の先に山があり、その後方から発射されていると睨み、空からの攻撃を加えるが、全くダメージを与えられない。
一体、どこから発射されているのか。そこで絶対に、日本軍捕虜の必要性が再確認されるのだ。
当然、捕虜確保に向かうのは主人公の部隊である。ただ、事前に部下たちに犠牲者もでているので、その作戦への参加要員として、従軍記者と日本語を話す個性的な軍曹が登場してくる。
それからは、平原でのスケール感溢れる場面から、密林での小部隊のみの進行へシフトしていく。
マクロからミクロ的なメリハリで、そこで、今まで描かれてきた兵たちの個性が存分に発揮され、飽きさせない。
当然、戦死者もでるし、何とか捕虜数名を確保するものの、今度は日本兵を引き連れて、味方陣地に戻らなければならないサスペンスも加味されていく。
しかも、日本軍捕虜確保に至るまでも、日本人が見ても、成程と思わせる日本人像であり、誇り高く、生きて凌辱を受けず的軍人もいるし、逆に兵卒は死にたくないと願う者がいたりと受け入れやすい。確かに、些かどうかと首を傾げる設定も散見するが、ステレオ・タイプとしては納得出来なくもない。
つまり、そう簡単に確保し連行できないという設定なのだ。しかも、アメリカを欺くロケット基地の設定も妙味があり、明治大学理工学部卒と名乗る日本人の技術力なり、価値観にも、決して野蛮な猿程度の民族として描かれるのではなく、ある程度、理解があると感じた。
悩める隊長を演じるウィドマークが上手いのは当然として、当時、悪役専門のジャック・パランスやネヴィル・ブランドに人情味あふれる役を振ったり、若手の二枚目ロバート・ワグナーなどを配し、バランスも取れている。
冒頭、独白による説明的台詞やカット・バックによるそれぞれのバック・グランドが登場するので、少々、しつこさを感じはするが、後々に、人間ドラマとしても、ある程度の効果を上げていると感じた。
特に、全員が汚れた軍服姿では、区別がつきにくい戦争モノであるが、服の破れ加減や体型で、混乱させないように留意しているのにも好感が持てた。
日本軍が登場する戦争モノとしては、好感が持てる作品である。