あしやからの飛行 – FLIGHT FROM ASHIYA(1964年)

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スタッフ
監督:マイケル・アンダーソン
制作:ハロルド・ヘクト
脚本:エリオット・アーノルド、ウォルド・サルト
撮影:ジョッセフ・マクドナルド、バーネット・ガフィ
音楽:フランク・コーデル

キャスト
高島軍曹 / ユル・ブリンナー
スティーヴンソン大佐 / リチャード・ウィドマーク
グレッグ少尉 / ジョージ・チャキリス
ルシール / スージー・パーカー
キャロライン / シャーリー・ナイト
レイラ / ダニエル・ゴーベール
トミ子 / 滝瑛子
スミス / ジョー・ディ・レーダ
チャーリー / 杉山光宏

日本公開: 1964年
製作国: アメリカ、日本 H・ヘクト、大映 作品
配給: 大映


あらすじとコメント

リチャード・ウィドマークが、軍人役で難しい立ち位置を演じた作品で繋げた。日米合作の大作にして、日本側が制作した特撮も良くできているアクション人間ドラマ。

日本、福岡アメリカ軍航空救難隊が所属する芦屋飛行場。

激しい台風の晩、北シナ海洋上で日本籍の貨物船が炎上し、緊急救難要請がでた。しかし、悪天候ですぐには救助活動に向かえない状況でもあった。

隊長のスティーヴンソン大佐(リチャード・ウィドマーク)には日本人に対し複雑な感情が渦巻いているが、任務である。長年行動を共にする日系二世のマイク高島軍曹(ユル・ブリンナー)や、グレッグ少尉(ジョージ・チャキリス)らも、大佐の指示を待っていた。

結果、悪天候の中、二機の大型水陸両用機が救助に飛び立った。だが、現場に到着すると、既に貨物船は沈没しており、小さなゴムボートに子供を含めた数人が乗っているだけであった。その上、風雨は激しさを増し、今にも沈みそうな状況である。

決死の覚悟で片方の機が着水を試みたが・・・

心に闇を抱えた救助隊員たちの決死の活動を描くアクション大作。

第二次大戦中、ビルマで捕虜となり、妊娠中の恋人である特派員女性が高熱をだしたが、日本軍が薬をくれず見殺しにせざるを得なかったことから、日本人を憎む司令官の大佐。

戦時中の北アフリカで回教徒の女性と恋に落ちたが、彼女の両親に猛反対され、断念した日系二世の下士官。しかも、彼を追って来た恋人は、彼が仕掛けた爆薬の所為で死亡していた。

そして、孤立したドイツ山岳部の教会を救助中、自分の操縦ミスから雪崩を誘発し、多くの犠牲者をだし、以後、操縦桿を握るたびに震えを起こすようになった少尉。

そんな心に闇を持つ三人が、荒れ狂う海で漂流する日本人が乗る救命ボートの救助に当たる。

作劇法としては、救助に向かう中、それぞれの過去が回想形式で長く描かれ、三人が自分に決着を付けていく展開。

日本は当然として、ドイツ、アフリカ、ミャンマーなどでロケを敢行し、確かに金は掛かっているというスケール感がある。

興味深いのは日本側が『東宝』でなく、『大映』で、当時名物社長だった永田雅一が制作に関わっていること。

従って、特撮もゴジラ・シリーズの円谷英二ではなく、大映の黒田義之を筆頭とする「大魔神」(1966)を製作した大映特撮チームである。

個人的には、ここに本作の特筆すべき点があると感じる。

『特撮』が大好きということもあり、円谷英二の作品は、ほとんどを見ているが、円谷が携わったフランク・シナトラ監督・主演の「勇者のみ」(1964)でハリウッド合作映画の一部として見比べると、何故か、こちらのチーム作品が、アメリカ的特撮として融合していると感じた。大掛かりな街全体を低予算で再現するという特撮ではないゆえにだが。

「大魔神」シリーズでも感じたことだが、細かいデティールにこだわり、結果、実写部分との違和感が半減されていると。

特に、ドイツ山岳部での雪崩シーンなど、日本人の矜持が際立ち、鳥肌が立つ。

当然、回想シーンでの日本軍は完全な悪役として描かれるが、それでも、合作らしく、チョイ役に至るまで、日本人が演じているので、違和感を覚えさせない貴重な作品でもある。

作品そのものは、取り立てて、どうということもないが、それでも、日本人として、この作品を共同制作できた時代に思いを馳せたい。

本作は、やっとアメリカでオンデマンド形式でDVDが発売されたものの、それ以前に、ここの読者様のご厚意によって再見できたことを感謝致します。

余談雑談 2015年8月1日
8月に入り、恐らくは世界中でヴァカンス・シーズン突入だろうか。地元有名観光地も半数位が外国人で、連日、それこそ大変な賑わいである。つくづく、世界的な観光地になったのだと実感している次第。 先週土曜には、大きな花火大会もあった。算出基準は分ら