体温を超える暑さに閉口していたら、今度は秋雨だ、台風だと実に忙しい日常。この週中に起きた台風余波による大雨は関東から東北と甚大な被害を与えた。
まさか、突風や浸水といった深刻な被害は都心では起きなからろうと、多寡を括っていた。ところが、自分にも影響が出た。しかも、自室と実家と二ヶ所で。
自室の方は、単にテレビ数局が全く受信できず、写る他のチャンネルも走査線が走り、音声はラジオ短波のように途切れ途切れでクリアな視聴ができなかっただけなのだが、それでも、困惑した。
時々、写ったかと思うと、漆黒画面に「現在、受信できません」という文字が。BSに至っては、完全に全局アウト。
何せ、眼前に最長電波塔がそびえ立ち、別にそれがUFOや怪獣の襲来で破壊された訳でもないのに、突然の乱調。昔だったらテレビを揺らしたり、叩いたりしただろうが、まさか、現在では通じまい。
まあ、これは昔を知っている人間からしたら、まだマシな方だろう。
問題は実家の方である。築60年以上経過した木造二階家だが、途中で三階部分を半分増築した物件。経年劣化で、去年の11月に三階部分の屋根を葺き替え、二階屋根部分は塗装をし直した。
それなのに、である。何と漏水発生。
発端は火曜日の朝のこと。これから東京は豪雨という状況で開店し、テレビで台風情報を見ていたら、何やらテーブルに茶色い水が。見上げると天井の使用してない電気器具接続口からポタリ、ポタリと漏水していた。
嫌な予感が走り、二階へ行ってみた。すると信じ難いほどの漏水で床がずぶ濡れ。老母独居のため、急な階段は危険と数年前に生活基盤を一階に移し、以後、物置状態で、余程のことがない限り上がらないでいた。
慌てて、漏水受けの入れ物を幾つも探し、雑巾をフル投入したが、それでもダメ。屋根を直したリフォーム屋に連絡を入れ駆け付けてもらった。三人でやって来たが、ここだという侵入場所が分らず、屋根を直した親方の判断が良いというので午後まで待つことに。
担当者の話では、二階屋根部分も補修した方が良いと思ったが、全体工事ともなると予算が3~4百万円かかるので漏水していた三階部分の屋根だけを進言したと。
午後、親方が来てくれて想定侵入場所を簡易補修してくれた。親方曰く、60年以上経過した本家自体は、流石、当時の職人技で建材も最高級で問題ないが、付け足した三階部分と二階屋根部分を補修した職人が違い、それが誘因だろうと。
成程、職人が見れば分かるのかと感心したが、結局、足場までかけしっかりと補修しなければならないでしょうと。
去年の自室の漏水を思い出しながら、激しい漏水は同じだが、今回は違うよなと鳥肌が立った。何せ、自室は保険で無料だったが実家は全額実費で二百万円前後だろう。
老母は遺影用にと考えていた写真が濡れて落ち込んでいる。その上、この歳になって、また高額な出費がかかると。
持ち家を維持するのは大変である。生涯借家人からすれば、持てる者の贅沢な悩みだよなと、思う人もいるだろう。確かに、そうかもしれない。
それでも、突然の堤防決壊で家をなくし、収入源の田畑も全滅し、中には命まで落とす人がいることを考えれば、どれほどマシであろうか。
でも、この出費は命懸けだよな。