怒りの山河 – FIGHTING MAD(1976年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:ジョナサン・デミ
製作:ロジャー・コーマン、イヴリン・パーセル
脚本:ジョナサン・デミ
撮影:マイケル・ワトキンス
音楽:ブルース・ラングホーン

キャスト
ハンター / ピーター・フォンダ
ロレーン / リン・ローリィ
チャーリー / スコット・グレン
ジェフ / ジョン・ドーセット
クラブツリー / フィリップ・ケリー
スケリット保安官 / ハリー・ノーサップ
フレイザー / テッド・マークランド
キャロリー / キャスリーン・ミラー
ディラン / ジーン・フランコ

日本公開: 1977年
製作国: アメリカ R・コーマン&サンタ・フェ・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

ピーター・フォンダ主演のB級的アクションで繋げた。制作は低予算映画の雄、ロジャー・コーマンで、どこかで見たような作品のパクリばかりだが、何故か、肩肘張らずに見られるものも多い。本作もそんな一本。

アメリカ、アーカンソー都会での結婚生活に敗れ、5歳の息子と父親の経営する牧場に戻ってきたハンター(ピーター・フォンダ)。

父親(ジョン・ドゥーセット)や弟のチャーリー(スコット・グレン)らに温かく迎えられて、ここで本腰を入れて生活をしようと決めた。

しかし、その一帯は、政治家と結託し、大規模な石炭採掘を目論む悪徳企業家クラブツリー(フィリップ・キャリー)が目を付け、ことあるごとに住民たちの排斥行動にでていた。中には圧力に屈し、土地を離れる者もいたが、ハンター一家は断固拒否であった。

それでも、何とかしたいクラブツリーらは、弟のチャーリー夫婦に目を付けて・・・

解りやすい展開で進行する、昼下がり洋画劇場で見るには絶好のB級アクション作。

都会生活に疲れ、故郷に戻る主人公。小さな息子にも、その方が環境が良い。暖かい家族や仲間たち。だが、そこに忍び寄る魔の手。

アクションの王道というか、何も考えずに気楽に楽しめる作品である。ストーリィの整合性や、畳み掛けてくるようなサスペンスなどない。

繊細な味付けではなく、ぶつ切り感で豪快というか、テキトーに大鍋で煮込めば、素材の持ち味が溶けて混ざり、それらしい味になる定食屋兼酒場のようなティスト。

重要なのは産地にこだわる素材ではなく、スーパーで買えるような食材で、あくまで『安く作る』がモットー。味付けは、アクション、バイオレンス、そしてエロ。

それがロジャー・コーマンのスタイル。

つまり安食堂の味わいが好きな人間には、もってこいの作品群。

本作も然りであり、ある意味、期待を裏切らない。

大スターは起用せず、脇役も地味。破壊する家屋やクラッシュする車も、どうにも安普請でチープなものばかり。

しかも、別角度からも撮影しているから、別な場面で違うシーンとして再登場させる。

まるで、スーパーのタイム・セールで買った魚を、その晩には刺身、翌日には焼いて、そのまた翌日には煮て、という徹底した無駄を省く予算管理。

それでいて、後のスターなり名監督を輩出をしていった実績もある。

本作では、監督のジョナサン・デミであろう。本作がメジャーのデビュー作であり、低予算だし、肩に力の入っているフシも強く感じるのだが、所々、キレのある演出を見せている。

とはいえ、あくまで大衆受けのする作品であり、突っ込みどころも満載。

ただし、それでも『ひとときの娯楽』という観点でいえば、それはそれでアリだとも思う。

「フロンティア・スピリット」というアメリカ人の郷愁を想起させつつ、悪役は、成り上がりたい「アメリカン・ドリーム」具現者。その間で「仲間意識」と「法令順守」に揺れ動く町の保安官という構図。

だが、結局は、武力による実力行使。やはり、暴力は如何なものかと思う観客に対して、仲間や身内に次々と災難が降りかかり、遂に堪忍袋の緒が切れる展開もセオリー通りだし、事実、世界中で制作された、大衆娯楽的発想と進行。

娯楽の少ない場所で、肉体労働に勤しむ男たちに提供するひとときの現実逃避と夢。

何も考えずに観て行けるアクション映画としてはマズマズの出来といえようか。

ただし、それだけの作品でもあるのも事実なのだが。

余談雑談 2015年11月7日
夏を感じる沖縄、那覇の朝。東京の人間からすると、充分、半袖で過ごせる陽気だ。とはいっても、こちらの方で、半袖の人はいないのが地域差を感じさせるが。 今回も、毎度お馴染みになった早朝便で、朝9時には那覇到着。前回のオジサン三人旅で、お世話にな