東京でも季節の移ろいを感じる。先週末、真夏日の沖縄から戻ったから、特にそう感じるのかもしれない。
その沖縄では、二日間は渡嘉敷島滞在。那覇市の港から1時間で行ける距離ながら慶良間ブルーの海を満喫出来るマリン・アクテビティと降ってくるような満天の星空が見られるからだ。
ところが、着いた日は曇天。かつて二度ほど厄介になった民宿のおじさんの出迎えを港で受け、道すがら、釣りとシュノーケリングをしたいと願い出た。ところが釣りは竿を壊す客が続出し中止していて、沖合に出る船は、現在絶賛メンテナンス中で陸に上がっているとかで不可。
これで、滞在中の目的は満天の星空のみとなった。ところが空を見上げずとも、結果は分る。
取り敢えず、昼食を食べようと小さな集落の中でランチ営業しいていた三軒で一番小汚い店をチョイス。何せ、半径二百メートルでビーチを含む集落の規模。しかも国立公園指定で、新規出店は難しいらしい。そもそも人口千人以下で、コンビニも信号もない島。
そこは70歳過ぎの「オバァ」と40歳絡みの息子がやっていた店だった。他に客はおらず、昼食を摂っていると息子が、そっと島内観光をしないかと話かけてきた。代金は1000円で、しかも二人でだと。
応じて、潮錆びの浮いた自家用車で3時間近く全島を隅々まで案内された。彼も一応、活性化のアイディアがあり、話を聞いたが、どうにもピント外れ。それでも、ごみ処理場の敷地内や研修施設内の生きたハブなど、確かに通常の観光では絶対に行かない場所も多く、楽しんだ。
店まで戻ると文庫本を二冊差し出し、これを受け取らないと「白タク」で捕まると言いだし、そういう知識はあるんだなと苦笑。
夜は別な店で、何と自室のある同じ町内会出身で、そこに住みついている女性と、二人以外誰も知らない狭い話題で盛り上がった。
翌朝は雨で明けた。この天気は同行者の所為で、自分の雨男復活ではないと念じた。ところが民宿のオヤジさんは、今年は空梅雨で、朝からこれだけの雨は嬉しいと笑顔。こちらは益々、曇り顔だ。
当然、することもないので、同じ店にランチへ。パリのカフェの客のように長居しようと決めていたが、フェリーが着いたのか、突如、店はイギリス人と中国人で満席。そういう時に限って息子は、またもや白タク営業らしく留守。オバァが、ブツブツ言いながら独りで切り盛りしているので手伝ったら、帰りに持ちきれないほどお土産をいただいた。
そして天気が急に回復し、満天とは行かないが、降ってくる星空をオジサン二人で堪能。少しは運が付いてきたと顔が綻んだ。
翌朝は青空。考えたら、海に触ってもいないと、せめて足首だけでもと踏み入れた。思いの外、冷たかった。それでも、この天気なら、泳げそうだと思ったのだが、その日は島の民宿を全満室にする高校の修学旅行生を300人以上受け入れるとかで、早めに那覇に帰島せざるを得なかった。
午前10時半には戻るが予定はナシ。すると同行者は辺野古までバスを乗り継いで行くと言う。こちらは6月に前を通過だけはしたのでパスし、確かに修学旅行生が多いと思いながら、市内でノンビリと過ごした。
そして、帰京する朝、最後に散歩しようと相成り、人影もまばらな国際通りから牧志公設市場を巡り、ついでだからと8月にクローズした、大好きだった農連市場へ。
何と、営業中ではないか。あれほど大々的に「閉鎖」と謳って大型のビルに変貌するはずが、そのままであり、逆に、改装している店まで。
流石だ、沖縄。これでまた、農連市場で朝食を食べられる。来られなかった仲間を誘って、来年に再チャレンジだろうか。