実家のタバコ屋前の居酒屋。関西風串揚げ屋として、約9年営業した方が手放し、新たに50歳を過ぎた男性が権利を買った。
現在、新規開店に向け内装工事中であり、毎日、店にやって来ては進捗状況をチェック。どうやら洋風居酒屋としてオープンするらしく、かなりイメージが変わりそうだ。
元地元大手の社員で、その会社がアンテナ・ショップ的に展開したカフェで店長を勤めて、色々とノウハウを蓄積してのことらしい。
ただ、どうしても素直に見られない自分は内装に金を掛け過ぎという気がしてならない。その分、飲食物の価格に上乗せしなければならないだろうし、そうなると味と量のバランスから手頃感が薄れることが多い。
下町の人間は、そういうところに固執する人間も多いし、その手の噂はあっという間に拡散される。常連が付いたとしても、一回当たりの代金は大して使わず、寂しさを紛らわす話し相手として長時間居座る人も多いのが実情だろうか。
それでも初めて自分で店を開業するので、思い入れは相当なものと推察する。その思い入れと現実の金銭に大きな差が生じたときに、どうなるのだろうかと、他人事ながら、心配してしてしまう。
小さくとも一国一城の主となるのは大変だろうな。
では、勤め人はどうか。こちらは自分に直接影響している若い男性がいる。
煙草は「日本たばこ」と「外国たばこ」に仕入れが別れている。その片方の「外国たばこ」の営業がまったく来ないのだ。
禁煙、嫌煙で売り上げは減少する一方。当然、販売側もかなり縮小となり、今や外国系は事務所もなく、自分の車を持ち込んで、PCと携帯だけ支給され、直接自宅から営業に向かうとか。
だからか、外資系で頑張るタイプは、解りやすい。若い人間で合理的に考えるタイプは行きやすいというか、働きやすい職場なのだろう。
自分の業績次第なら、手っ取り早い方を選び、結果に直結するスーパーやコンビニなど大手に肩入れする。うちのような老婆とオジサンで営む弱小小売店など、数の内に入らない。
ご存知の方が、どれほどおられるかは存じ上げないが、煙草は賞味期限があり、それを過ぎると返品が可能なのである。しかし、返品分は売上げから減算される。となれば売り放しで完売がベスト。
実は返品分が発生しているのだが、何度か携帯に留守電を入れてはいるが、コール・バックもなく、来店もない。
否や、そんな奴ばかりじゃないと仰る人もいるだろうし、確かにその通りだとは思う。しかし、老母は、頭では解ろうとしても、中々、心では受け入れられないようだ。なので、こちらが本当に連絡を入れているのかと、何度も尋いてくる。
怒ってもしょうがないので、もう少し、待ってみることにしている。いくら何でも、そのうち来るだろうから。
世代や時代にも関係あるのだろうが、あくまで個人それぞれの価値観だろう。転勤もあるし、退職者も多いと聞く。
一国一城の主と外資系営業マン。どちらにしても、自分の人生を生きて行くのは大変だろうな。