余談雑談 2015年12月5日

おやおや、もう師走である。思い起こすと今年は、随分と旅行づいていた。この数年では、一番だろう。

後半は、間を空けずの沖縄旅行のために飲み屋への出陣も減り、気が付くと浪費しなくなった。安いとはいえ、どれほど飲み歩いていたかと失笑を禁じ得ないのだが。

で、今年最後とばかり、またもや出掛けてしまった。

場所は日光国立公園内の湯西川温泉。JRより安い運賃の私鉄で、片道3000円強。しかも始発駅は自室の眼の前。どうやら鄙びたというか廃れた温泉らしく、宿も二食付で8000円前後。

四、五回程度、飲みに出掛けるのを我慢すれば行けるじゃないか。更に、忘年会と称した飲み会をパスすれば、もう一泊できるじゃないか。そうなるとガマンしないのが悪い癖。後のことなどケ・セラ・セラ。

紅葉は終わり、連休明けの平日だ。地元で観光客の多さに閉口しているので、逆に、寂びれて誰もいない風景に憧れる。

そんなイメージを抱きつつ、初めての場所で、何ら勝手が解らぬが、二軒ほど目ぼしい宿を見つけた。さほど大きな温泉街でもなさそうなので、ならば一泊づつ別な宿にしようと。しかも、双方とも空室ありの表示。

いけないことだが、酒屋で買い込めば、飲み代は、更に安くつく。意気揚々と連休明けの火曜日に出発。

鬼怒川温泉駅で、対面ホームの野岩(やがん)鉄道に乗換え、湯西川温泉駅から更にバス。ところが都心で慣れていると忘れていたが、運賃がどんどん加算されるシステム。結局、片道880円も掛かり意気消沈。間違いなく、真っ先に酒屋を探さないと。

山に囲まれた温泉街で、人影はまばら。一軒目の宿はロッジ風で温泉街の外れの「高野(こうや)旅館」。夕食は囲炉裏端だ。川魚やしゃもじ上に味噌と鴨挽肉を混ぜ、盛ったものなどをじっくり炭で炙る。後は山菜と椎茸ばかり。だが、山奥だし、マグロの刺身やエビの天婦羅といった、何故に、というのがなく、いっそ、潔くて好印象。

男女別内風呂と露天湯があり、貸切なので、24時間どこに入っても問題はないと勧められた。これまた好印象であったが、考えれば本当は休みたかったのかもしれないが。

翌日は築450年程度の古民家宿。以前は茅葺屋根だったが、現在は変わっている。流石に古いだけあり、建物の一部が目に見えて解るほど傾いている。常に不安定さがあり、妙な気分。風呂も畳一畳程度の内風呂のみ。食事も、特色がなかった。

まあ、こういう比較が出来たのも再訪の時には役立つと納得。

間の昼食は温泉街で数軒開いている店から一軒をチョイス。これが大正解。

土地が荒れているらしく、米は取れずそばが名物の場所と知り、成程、酒屋で購入した地酒が二種類とも口に合わなかったのかと、またもや納得。

そこでは生まれて初めて食す「山椒魚の天婦羅」に、「キノコそば」。中年女性が独りで営む店で、味付けもしつこくもなく強くもなく絶妙。真冬は予約制だが、味噌味の「熊鍋」。この店なら、間違いなだろうと確信し、また、再訪したくなった。

ただし、予約は二人前から。そこが問題だな。また、オジサンたちに声を掛けてみるか。

で、最終日の朝は雪模様。今年は遅いと言いながら、これからが大変だと笑う宿の女将さん。

考えたら、三週間で真夏日と初雪を体験したことになる。やはり、今年は贅沢で最高な一年だ。

実家に戻ると不機嫌な母親が店番をしていた。そりゃそうだよな。一ヶ月で二回も旅に出れば。

いやね、湯西川なら、そのうち、一緒に行けるかと思ってね、と。それでも、不機嫌は不機嫌。

さて、師走。どこにも走らずに、じっと店番をしようっと。

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