太陽の中の対決 – HOMBRE(1965年)

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スタッフ
監督:マーティン・リット
製作:M・リット、アーヴィング・ラヴェッチ
脚本:アーヴィング・ラヴェッチ、H・フランク Jr
撮影:ジェームス・ウォン・ホー
音楽:デヴィッド・ローズ

キャスト
ラッセル / ポール・ニューマン
フェィヴァー / フレドリック・マーチ
グリムス / リチャード・ブーン
ジェシー / ダイアン・シレント
ブレーデン / キャメロン・ミッチェル
アンドラ  / バーバラ・ラッシュ
メンデス / マーティン・バルサム
ビリー / ピーター・レイザー
アーリー / スキップ・ウォード

日本公開: 1967年
製作国: アメリカ オンブレ・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

前回が黒人初のボクシング・チャンピオンの話。今回は白人でありながら先住民として育った男の複雑な立場を描く、前回の「ボクサー」(1970)と同じく、社会派監督マーティン・リットの異色西部劇。

アメリカ、アリゾナ白人でありながら、子供時代に先住民に拉致され育てられたラッセル(ポール・ニューマン)は、今でもその仲間たちと居留地に住んでいる。そんな彼の元に義父が死亡したとの連絡が入り、遺産として下宿屋を受け継ぐことになった。

だが、彼は下宿屋を処分し、その金で多くの馬を買おうと思っていたのだ。長年、その下宿屋を管理していた中年女性ジェシー(ダイアン・シレント)は経営者が誰になろうと、すぐに取り入って自分のペースに出来ると自惚れていたので、晴天の霹靂である。だが、取りつく島もない状況。

ラッセルは金を得ると旧知の仲である駅馬車業を営むメンデス(マーティン・バルサム)の元を訪れるが、鉄道が敷かれるので廃業したと力なく笑った。そんな折、紳士然としたフェーヴァー(フレデリック・マーチ)が若い妻を連れてやって来て、最後に残った駅馬車を馬ごと買うから急いで南へ行きたいと言い放った。あきらめかけていたラッセルや職を失ったジェシーらは同乗を申しでる。

そこに荒くれ者らしいグリムス(リチャード・ブーン)も同乗を強硬に要求してきて・・・

人間のエゴを嫌というほど見せ付けられる異色西部劇。

白人でありながら白人嫌いの主人公。金にモノを言わせ駅馬車を買い取る先住民居住地顧問の老紳士と若い妻。

渡りに船とばかりに同乗を申しでるのは、主人公の他に、彼の所為で失職した女管理人、町をでたいと願っていたワガママな妻を持つ気弱そうな青年の若夫婦、そして荒くれ者。御者は、最後の仕事だと言う主人公の知人。

主人公は誰とも近付こうとせず、排他的な態度を取る。本当に、白人嫌いという態である。

当然、その空気は全員に伝わり、居住地顧問夫婦は、主人公の立場を知るといきなり蔑み、差別する始末。こういう態度にでられるから、どうしても白人のくせに白人が嫌いなのだろうかと推察させてくる。

進行としては、「グランドホテル」形式人間ドラマが絡み合い、やがて駅馬車強盗に遭う展開となる。ただし、単純な強盗ではなく、最初から計画されていたのである。

それは何故か。このあたりの設定と、その後の人間模様が、かなりいびつで興味深いのであるが、何とも嫌な、各々が持つ人間の本性が剥きだしになってくる。

その上、観る側にも試練を要求してくるのだ。

進行の中で、嫌な奴だし、単純に無様な末路を迎えるのだろうなと思わせつつ、本当にそんな単純で良いのかと、こちらに問いかけてくるのだ。

中には上辺だけという解りやすい設定の人間もいるが、心優しき人間だっているのだ。

しかし、この映画では、その「優しさ」だって、結局は人間の『エゴ』に他ならないと提示してくる。

このシニカルさは、フランス映画のようであり、本作前年に制作されたイタリア製ウェスタン「荒野の用心棒」(1964)が、やがてアメリカ製西部劇を変えていくという時流の先駆け的な、異質な虚無感というか、嫌な荒涼さが伝わってくる。しかし、あくまでアメリカ製という矜持を感じる。

それは、『人間』の個性が、ちゃんと描かれているから。成程、主人公は、白人、否や人間嫌いにならざるを得ないだろうなと感じさせていくからである。それでも一縷の希望もあるし、人間の強さと優しさを感じさせても来る。

終始一貫し、他人を排除するニューマンの演技は見事。炎天下で、こちらの心まで枯渇させるマーティン・リット演出も、イヤラシさが全開で、異色西部劇としては上出来の佳作。

余談雑談 2015年12月26日
いよいよ年末である。思い起こすと、今年は自分にとって思いの外、「アタリ」の一年であった。 春先には、北海道に転出していった旧友からブルーレイ・プレイヤーを貰い、以後、昔とは比べ物にならない高画質で映画が録画できることに感動し、嵩じてTVの連