スタッフ
監督:マーティン・リット
製作:ローラ・ジスキン
脚本:アーヴィング・ラヴェッチ
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:キャロル・キング
キャスト
エマ / サリー・フィールド
ジョーンズ / ジェームス・ガーナー
モーリアリティ / ブライアン・カーウィン
ジェイク / コリー・ハイム
カヴァリー / デニス・バークレイ
マーガレット / ジョーガン・ジョンソン
ル・ボー / ビリー・レイ・シャーキー
ワンダ / アンナ・レヴァイン
アボット / チャールス・レーン
日本公開: 未公開
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: なし
あらすじとコメント
難あり中年男の恋模様。今回は三角関係的進行を見せる、どこか牧歌的でほのぼのした作品。
アメリカ、アリゾナカリフォルニアから、ひとり息子と田舎に引っ越してきたエマ(サリー・フィールド)は、廃屋に住みつき農場を始めようとしていた。
ところが文無しゆえ、銀行に融資を求めに行くが、母子家庭の余所者だと門前払いを喰ってしまい、意気消沈。町で偶然入った薬局兼カフェで店主のジョーンズ(ジェームス・ガーナー)相手に、ソーダを飲みながら愚痴を言うが、ここはまだまだ昔のままの価値観が健在なのさと返されてしまう。
そんな彼は1927年製のクラシック・カーを店前に違法駐車して毎日罰金を支払うような男。どこか斜に構えた、というか、飄々とした男でもある。
そんなジョーンズは、彼女の馬を見る目の確かさを知り、馬を預け、調教して欲しいと言いだした・・・
お互い脛に傷持つ者同士の人生模様を描く好編。
男尊女卑というか、昔の価値観がそのまま残る西部の田舎町にやって来た母子。
その町で生まれ育った中年男が興味を持つが、何ともへそ曲がりな性格からか、遠回しに援助して行こうとする。どうにも、いじましいというか、じれったい男。
ところが、そこにヒロインの元夫が転がり込んできたことから、微妙な方向へ転がりだすという展開。
ヒロインが思い付きで言動し、すぐに訂正する性格だということを冒頭から示しているから、元夫の登場で、心が流れだすであろうことは想像に難くない。
しかも、ひとり息子は久々の再会で嬉しさを爆発させるから、中年男にとっては心中穏やかではなくなる。
そんな元夫は、絵に描いたようなテキトー男。ヒロインとは同じ年でハイティーンのときに出来ちゃった結婚したが、大人になるにつれ、嫌気が差し離婚ということが分ってくる。
アメリカの田舎で繰り広げられるあまり教養があるとは思えないタイプらの人間模様。牧歌的というか、古き良き市民と言えば聞こえは良いが、やはり、ある意味、アメリカがアメリカである病巣の一部であるとも描いていく。
そこに、社会派で重い人間ドラマを得意とするマーティン・リット監督の厳しさと優しさを併せ持つ視点が浮かぶ。
本来なら名コンビのポール・ニューマンあたりが演じそうな役をジェームス・ガーナーに振ったのが本作の成功である。やり過ぎ感のない、飄々さを醸す演技。
そしてヒロインのサリー・フィールドも適役。初期のシャーリー・マクレーンや、ゴールデイ・ホーンが得意としたコケティシュでキュートな演技。
決して高等教育を受けていないというか、単細胞的で艶っぽくて男好きする田舎娘。だからくっ付くのも同じタイプの若僧。
南西部に居そうなステレオ・タイプな人間たち。それでも、周囲の人間は優しい。
男のくせに矢鱈と年齢を隠す中年男と元夫との間で揺れる女心。子供から思春期を迎えつつあるひとり息子。それぞれの人生の落としどころ。
アメリカという広大な国と独特な地域性。チラリと社会性をだしながらも、何ともコメディ的進行なので安心して観て行ける作品。