沖縄滞在中である。今年の入梅は早いと口を揃えた気象予報士情報を鵜呑みにし、早割を意識して予約したことが祟り、こちらは「梅雨」の最中。しかも、出発前に東京も梅雨入りした。
とはいえ、妙に好天に恵まれたのは同行の友人の日頃の行いゆえだろう。しかも、今回も面白い体験ばかり。これだから沖縄旅はやめられないと痛感。
今回のメインは中二泊を慶良間諸島にある渡嘉敷島でノンビリ滞在することで、他はノープランであった。
以前からの仲良しタクシー運転手が独立し、中国富裕層相手の観光事業を始めているので、後任タクシー運転手を紹介されていた。なので出発前の羽田で同行者と相談し、その方が空いていたら午後から半日観光を依頼しようとフライト直前にメール送信。
10時半過ぎ那覇に到着し、電源を入れると4通もメールがその方から届いていた。直近のものは「すでに空港で待機してます」と。この方も、自分同様フライング気味な性分か。
本島南部を廻り、最後は泡盛の醸造所で無料で利き酒体験。午前中からの飲酒で、かなり良い気分のまま、夜は、急遽仕事が入った元運転手氏が不参加となり、新しい運転手プラス地元の飲み仲間が加わり酒宴へ。
新運転手さんは、翌朝早いとそこで撤退。流れで、新規開拓しようと相成り、どうせならちょっと怪しそうな店を探そうと。夜の「国際通り」も歩いたが、すれ違ったのは日本人が一組のみで、他は全員が中国人で、一体、ここはどこだと、皆が驚いたほど。
そこで見つけたのが『薬膳泡盛』なる店。「アロエ」、「よもぎ」、「月下美人」などが漬け込んであるものらしい。
ドアが少し開いていて、覗くと「もうお終い」との返事。中は、昭和40年代前後のスナックで、スタッフも客も地元の方々のみ。かなりディープな感じだ。
あきらめて別な店をと歩き出したら、ホステスが飛んできて、どうぞ、と。何でも、75歳のママさんが時計を読み違えて、閉店時間と勘違いしたらしい。
なので入店。全種一合で千円と言われ、それぞれが別な種類を頼んだら、徳利に並々と入れられた酒が登場してきた。どれも独特の匂いを発し、何とも怪しい。
「水割りでいいね」と言われ、少し飲むとすぐに継ぎ足すという、わんこそば状態。何だか、飲み切らないと帰してもらえない雰囲気だ。これは「胃腸に良い」やら「血液サラサラ」と。つまり体に良いから全部飲めということらしい。でも、ベースは度数の強い泡盛だぜ。
マグロの刺身や和え物、果ては山盛りのオニオン・スライスまで出来て、こんどは遠慮なくお食べなさい状態。
男性客がひとり、地元の飲食店を閉めて参集したらしい、かなり高齢の女性が二人。たったひとりのホステスは50歳過ぎで、何と16歳で出産し、30後半の娘がいるとか。
何から何まで怪しい。それでも、客のオバサンがマイナーな沖縄の唄をカラオケで歌い、ママが合いの手を入れ、何とも味があって響いた。観光客相手の民謡酒場よりも、よほど面白い。
何とか全員が酒を飲み終え、お勘定へ。三人だったので三千円也。何とも良心的だ。しかも、開店35周年で製作した、残り物の最後のタオルまで皆にくれた。
離島に持っていくタオルを忘れていたので、タイミングが最高。ベースが派手なピンクで、大きく店名と電話番号が縫い込まれ、両端には金糸で沖縄方言の刺繍まで。確実に土産物屋では売ってないタイプでしかもデザインや色使いが、何とも独特。
同行の友人と、明日の朝はどうなっているかねと笑いつつ就寝。
翌朝は、何と二日酔いもせず、スッキリ。やはり凄いところだ、沖縄。
で、颯爽とオジサン二人は渡嘉敷島に向かったのであった。