数十年振りで吉祥寺に行った。高校時代、文化祭で演劇を披露した時の仲間十名弱によるオジサンだけの食事会であった。
開催は年に二回で、幹事は持ち回り。で、今回の幹事が選んだのが、吉祥寺の井の頭公園内にある創作エスニック料理。何とも珍妙な奴で、オジサンだけなのに、若い人が集う店をチョイスした。しかもオープン・エアーである。
ランチということで午前中の集合。ラクで早い乗継で行こうとすると運賃が500円以上もかかる。いつも運賃240円までで行ける範囲での行動パターンの自分からすると、まるで小旅行である。
なので、安い行き方だと一時間弱もかかるので、早目に出発して、結果、一番乗りで到着した。
その日は雨であった。下町人間からすると、まったく理解できないが、住みたい街ナンバーワンでもあり、観光客も多い駅前。
その上、幹事がいつも遅刻する奴。でも、まさか今回は遅れないよなとか念じつつ、他のメンバーは五分前には全員集合した。
ところが、案の定、遅刻して飄々と登場した幹事。何故か勝手に「神田川源流発見ツアー」などと名目を変更し、本人は意気揚々。何のことはない、公園内に「源流の碑」があるだけだと言う。
でも、結構な雨だぜ。全く意に介さず、『ジブリ美術館』にも行こうと思ったが完全予約制なのでパス。ランチ後は、甘味処とか自家焙煎でなく、何とチェーン店のカフェを予定とか。
幹事としての重責を感じていたのか、それなりに進行を考えたようだが、どうにも年齢を考えない、個人的嗜好の強い発想である。
幸運だったのは店の席がテラス席であり、雨の影響がなかったこと。ただし、周囲は小さな子供の家族連れか女子会のみ。妙に落ち着かない。
それでも半年振りの再会で近況報告をし合い、二時間程度で解散。何名かその場で退散と言うので、自分も退散を決定。やはり、チェーン店のカフェは苦手だし。
中途半端なエスニックのワンプレート・ランチだったし、ちっとも飲めなかったので、墨田区の外れにある午後四時開店の酒場が浮かんだ。吉祥寺から、ゆっくりと各駅停車で行けば、一度の乗継で丁度良い時間か。
代を受け継いだ娘さんが、体調不良で、突然、休業するのが難点。なので娘さんにメールを入れると営業します、お待ちしてますと返答。久し振りに一度も地下に入らない電車で雨空を見つつ揺られ、地下鉄に乗り継いだ。
一時間以上かかり、運賃も700円近く。本当に小旅行だったと感じつつ、先ほどまでとは違って、人の気のない駅で降り、雨の中、店に向かった。
運賃費用を鑑みて、肴と酎ハイを減らさざるを得なかったのが残念であったが、やはり東側の下町が好きと実感した一日。