いちご白書 – THE STRAWBERRY STATEMENT(1970年)

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スタッフ
監督:スチュワート・ハグマン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
脚本:イスラエル・ホロヴィッツ
撮影:ラルフ・ウールジー
音楽:イアン・フリーベアーン・スミス

キャスト
サイモン / ブルース・ディヴィソン
リンダ / キム・ダービー
エリオット / バッド・コート
ジョージ / マーレイ・マクロード
エリオット / ボブ・バラバン
ルーカス / ブッカー・ブラッドショー
スワッチ / マイケル・マーゴッタ
生徒会長 / ジェームス・クーネン
食品店店主 / ジェームス・ココ

日本公開: 1970年
製作国: アメリカ ウィンクラー&チャートフ・プロ作品
配給: MGM


あらすじとコメント

今回は少年というか青年。大学生が一目惚れした女の子に影響され、若さゆえのストレートな行動を、時代のうねりと共に描く「アメリカン・ニュー・シネマ」の代表的一作。

アメリカ、ニュー・ヨークヴェトナム戦争たけなわの1968年のコロンビア大学。泥沼化する戦争と凶弾に倒れたジョン・F・ケネディ元大統領の弟も暗殺され、混沌としていた時期。

大学の敷地が軍施設に売却されると知った左派系学生が学部長室を占拠し、学内を閉鎖。外部に向けアジテーションを繰り返していた。大学のボート部に所属し、日々練習に明け暮れるジェームス(ブルース・ディヴィソン)は、政治や社会情勢には全く興味がなく過ごしていたが、占拠側にいるリンダ(キム・ダービー)を見つけ一目惚れしてしまう。

そうなると何も考えず、占拠中の構内に入っていき、彼女を探しだそうとする。左派系学生たちは新参者の彼を訝しそうに見るが、彼にはどこ吹く風。何せ目的が違う。学内を歩く内、リンダを発見し、話しかけるジェームス。だが、一気に二人の距離が縮まるはずもない。

そんな時、彼は「食料調達係」に任命され、リンダと一緒に密かに学内からでて、応援してくれている食料品店まで行ってこいと言われ・・・

体制に抗議した学生たちのリアルな生態を描くアメリカン・ニュー・シネマの有名作。

名門大学に通う学生たち。ヴェトナム戦争真っ最中であり、保守的な学生も多い中、時代のうねりから反戦思考で左翼思想の学生たちが学内を占拠した実話をモデルにした作品。

若い彼らは必死に将来や現状を危惧し、真摯に活動している。主人公のボート部の青年は、思想や主義主張ではなく、恋愛感情から参加し、相手が真面目に活動する姿に、やがて感化されていく。

それにより、主人公の友人たちも参加してくる。

ただし、一方では『過激な反体制思考』ということで、初めこそ、距離を置いて眺めている警察が、学長の依頼により、弾圧を開始していく展開。

要は、青春映画の態をした反戦映画。いつ自分が戦場に駆りだされ命を落とすかもしれない不安の中で生きる青年たち。

そんな彼らの身上を理解していると言いつつ、戦争を続行する政府の横暴な態度、すなわち、権力者たちの大人の勝手な論理に反旗を翻し、平和と希望を希求する活動である。

だがそこには若さ特有の偏ったというか、経験値の脆弱さから発する「行き過ぎ」も存在する。

結果として大人たちに拿捕される姿を心地良い音楽によって瑞々しく描いていき、持って行き場のない閉塞感と無常観に帰結する作品。

事実、世界中で、同様な活動が起こり、中には暴発した事例も幾つもある。現代の日本に置き換えると、良い意味でも悪い意味でも、当時の若者たちは活気と血気があったと痛感させられる。

主義主張は個人差がある。だが、それはあるだけでも素晴らしいと。負け戦はしないのが合理的で、他の方法で自分の将来を考えた方が『大人』と思う若者も増加傾向に感じる。

そういう若者たちが本作を見たときに、どのような印象を受けるのだろうか。

つまらなく、安っぽい青春恋愛映画として感じる人間が多いのだとしたら、何とも嫌な時代だと。

確かに、現状では彼らの行動なり思想は、破綻し敗北したようにも見える。だが、不安の矛先を真剣に考え、行動した時代もあったことを忘れてはなるまい。

余談雑談 2016年10月22日
先週の土日は、九週間ぶりに晴天が続いた東京。なので、空を見上げて、そろそろ衣替えをしなきゃなと考えた。 上着の類は吊るしっ放しで問題ないが、シャツやセーター、ズボンなどは、通常の二倍はある段ボールひと箱に一緒くたに詰めてある。若い頃は、それ