汚れなき瞳 – WHISTLE DOWN THE WIND(1960年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:ブライアン・フォーブス
製作:リチャード・アッテンボロー
脚本:キース・ウォーターハウス、ウィリス・ホール
撮影:アーサー・イヴェットソン
音楽:マルコム・アーノルド

キャスト
キャシー / ヘイリー・ミルズ
ナン / ダイアン・ホルゲート
チャールス / アラン・バーンズ
ボストック / バーナード・リー
ブレイキー / アラン・ベイツ
ジャッキー / ロイ・ホールダー
レイモンド / バリー・ディーン
エディ / ノーマン・バード
ロッジ先生 / ダイアン・クレア

日本公開: 1962年
製作国: イギリス ヴィーヴァ-・フィルム作品
配給: 日本RKO


あらすじとコメント

前回までは戦争と少年を扱った作品を選んできた。今回は戦争ではないが、子供の純粋さから発生するサスペンスを描く、いかにものイギリス製小品。

イギリス、北西部ランカシャー地方のどかな田園地帯の中で、農家を営むボストック(バーナード・リー)家には、のびのびと育つ15歳の長女キャシー(ヘイリー・ミルズ)を筆頭に、妹と弟の三兄弟がいた。母親は既に他界しており、叔母が口うるさく家事を取り仕切っている。

今日は、小作人が産まれたばかりの子猫を袋に入れ、池に落としたのを見つけ、助けると三人で敷地内の納屋に隠して育てようと決めた。心優しい子供たちだが、身勝手でサボることばかり考える小作人は大嫌いだった。

その夜、父親が出掛けたのを見て、そっと、納屋に子猫の様子を見に行った。すると中で、怪我をして横たわる無精ひげの若い男(アラン・ベイツ)を発見し、驚嘆の声を上げた。「あなたは誰?」

少し意識が戻った男は、キャシーを認めると呪いの言葉を吐いた。

「ジーザス・クライスト(何てこった)」と・・・

男が吐いた一言からキリストの再降臨と誤解する子供たちを描くサスペンス作。

のどかな田舎で純粋に育つ子供たち。テレビもなく、情報など、まったくない農場暮らしでは、自然を相手に遊ぶしかない。

母親がいないことに引け目を感じつつ、厳しさと大らかさを兼ね備えて子供らに接する父親。

そんな環境で、納屋に見知らぬ怪我をした若い男がいる。当然、いわくあり気だ。

こちらは見た瞬間に犯罪者だと気付くが、子供たちは汚い言葉を知らず、思わず口走った「キリスト」の一言で、奇跡が起き、自分らの納屋で甦ったと誤解する。

純粋ゆえに、学校で教わった通り、嫌な大人に見つかると、またもや磔になると思い込んでしまうから厄介だ。

三兄弟は、誰にも口外しないと誓うが、その純朴さが、その後サスペンスを喚起させていく展開と相成るのは想像通り。

ただし、今見ると当時の作品らしい、どこか気負った演出と有名俳優が出演していないという弱点も感じる。

ところが、往年のイギリス映画ファンとしては、強烈な個性はないものの好きな監督の一人であるブライアン・フォーブスのデビュー作という点も加味したい。

元々は脇役専門の俳優だが脚本も書き、後に監督として、渋い作品を輩出していく。とはいっても、メジャー系な作品はなく、忘れ去られたというか、そもそもの認知度が低い監督でもある。

そして更に興味深いのは、やはり俳優出身で、後に監督としてもフォーブス以上に有名になるリチャード・アッテンボローが初の制作にまわっていること。

つまり、俳優出身者が、出演せずに制作サイドにまわった作品である。

なので、どこか肩に力の入ったアラが目立つ部分も感じるが、それでも、ヒッチコックを模倣した技法なども取り入れた気概を感じる。

地味な監督で、日本未公開作品に佳作が多い監督としては、その片鱗を感じさせる作品ではある。

余談雑談 2016年11月26日
友人ら五名で温泉に行ってきた。栃木県日光にあるが、鬼怒川、川治ほど有名ではない温泉地。 去年、初めて訪れて、思いの外良かったことを宣伝したら、同行希望が数名登場。 一人は癌を三度も体験し、脚を悪くしながらも元気に生きている友人なので、人出の