ウォルター少年と、夏の休日 – SECONDHAND LIONS(2003年)

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スタッフ
監督:ティム・マッキャンリーズ
製作:デヴィッド・カーシュナー、スコット・ロス、他
脚本:ティム・マッキャンリーズ
撮影:ジャック・N・グリーン
音楽:パトリック・ドイル

キャスト
ウォルター / ハーレイ・ジョエル・オスメント
ハブ / ロバート・デュヴァル
ガース / マイケル・ケイン
メイ / キーラ・セジウィック
スタン / ニッキー・カット
ジャスミン / エマニュエル・ヴォージェ
若きハブ / クリスチャン・ケイン
若きガース / ケヴィン・ハベラー
族長 / アダム・オズターク

日本公開: 2004年
製作国: アメリカ ニュー・ライン・シネマ作品
配給: 日本ヘラルド映画


あらすじとコメント

多感な時代の少年成長物語で繋げた。今回絡むのは、動物や同年代の友だちではなく、オジサン二人。何とも微笑ましい冒険譚の佳作。

アメリカ、テキサス1960年代のこと。母子家庭の少年で14歳になるウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、40年も行方不明だったが、不意に戻った大叔父のガース(マイケル・ケイン)とハブ(ロバート・デュヴァル)の家に、夏休みの一ヶ月間居候するようにと、母親に命じられた。

母親の思惑は、どうやら二人が大金を隠し持っているという噂があり、もし本当なら自分らが一番近い親戚であるし、相続の可能性もあるが、手っ取り早いのはウォルターが見つけだすことだと。ただし、二人の大叔父は人間嫌いらしい。

それでも母親は、自分の都合で息子を預けて行った。電話もテレビもない壊れかけたような荒野の一軒家に、否応がなく住むことになって、ウォルターが困惑するのは当然だ。それに二人の大叔父は、噂通りの偏屈者。

落ち込むウォルターだったが、その晩、彼は埃まみれの部屋で世界中の町やホテルのステッカーが貼ってある古ぼけた旅行鞄を見つけた。

もしかしたら、その中に大金があるかもと思い、鍵をこじ開けると・・・

お伽噺ともファンタジーとも取れる作劇で綴る、現代へのアンチテーゼを絡めた冒険譚の佳作。

身勝手な母親に預けられた少年。当然、少年は困惑状態。一方、大叔父たちはマイペースだ。

やがて三人は打ち解けるという定番展開と相成るのだが、徐々に語りだす大叔父二人の過去が凄い。

若い頃、二人はフランスの外人部隊に入り、アフリカで大活躍をしてきたと。ただし、現在の二人を見ると真偽のほどは計り知れない。

確かに、信じ難い大冒険物語で、まったくの作り話か、幾分かは真実なのかは謎である。

ただ、少年にすれば、テレビもない田舎で、二人が語る物語は冒険小説以上に面白いのは事実。

作劇もヒーローの二人と、現在の落ちぶれ感に満ちた老人の姿を交互に見させられるので、こちらも、少年同様、「眉唾」的に見て行ってしまう。それでも少年は「大人の男」へのステップを上るので、安心感もある。

大叔父を演じるマイケル・ケインとロバート・デュヴァルが上手いのは当然だが、やはり当時天才子役と揶揄されたハーレイ・ジョエル・オスメントの頼りない少年がステップ・アップしていく姿が印象に残る。

とはいっても、一番面白かったのは、子役は大成しないというジンクスをキッチリと踏襲したオスメントが、名子役である彼自身の将来を見通されたかのように、母親に大金を得るように命じられる冒頭のシーンだった。

母親は好き勝手に夏を過ごし、且つ、ラクして子供に大金をせしめさせようとするからである。

親のエゴが、子供をタレントなりアイドルにさせ、自分の叶えられなかった夢を押し付ける「ステージ・ママ」的印象を喚起させつつのスタートなので苦笑してしまった。

事実、彼は成人以降、役者としては大成しなかった。それでも、ラストに思わずニヤリとさせられるオチはお気に入りだ。

DVDには別エンディングが収録されているが、そちらも興味深い。

ただし、全体のイメージが変わるから、やはり編集なり、設定は大事であると思わざるを得ない佳作。

余談雑談 2016年12月24日
先週後半の夜、新橋に出向いた。昼間、後楽園ドーム近くで所用があり、しばらく飲み屋に顔を出してないし、ついでだから年末の挨拶を兼ねるかと。 ところが、昼間から出向く先々で人の多さに驚いた。成程、師走かと感じた次第。昨今、地元以外へ出向くことも