スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ(未) -THE LONELY GUY(1983年)

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スタッフ
監督:アーサー・ヒラー
製作:アーサー・ヒラー
脚本:エド・ワインバーガー、ニール・サイモン、S・ダニエルズ
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

キャスト
ハバード / スティーヴ・マーティン
エヴァンス / チャールス・グローディン
アイリス / ジュディス・アイヴィ
フェンウィック / スティーヴ・ローレンス
ダニエル / ロビン・ダグラス
マーヴ・グリフィン / 彼自身
ジョイス・ブラザース / 彼女自身
サリー / ジョアン・スィーニー
孤独な警官 / マディソン・アーノルド

日本公開: 未公開
製作国: アメリカ ユニバーサル作品
配給: なし


あらすじとコメント

スティーヴ・マーティンのコメディ。昨今、日本では「草食系男子」とか、「絶食系男子」などという男性が増えているとか。本作はその逆で、昔は、この手の男がいたよなという内容にして、思い当たる中年以上の男性も多いと感じるコメディ。

アメリカ、ニュー・ヨークグリーティング・カード会社に勤めるハバート(スティーヴ・マーティン)は、投げやりで作ったメッセージが上司に気に入られ、昇進。意気揚々と恋人が待つアパートへ戻った。

ところがどうだ。恋人は、同じバレエ団の男優とベッドに入っていた。それでも、それに気付いてない振りをし会話をし始める。彼の態度にあきれ、あなたがダメ男だからこうなるのよ、出て行ってと三行半を突き付けられた。

ハバードは、トランクひとつだけ持って街を彷徨い、公園に辿り着いた。すると、同じく鞄一つで意気消沈するエヴァンス(チャールス・グローディン)が横に座り、話しかけてきた。

君もロンリー・ガイかな・・・

大都会で恋人を探し続ける孤独な男たちの日常を描くコメディ。

原始時代から100年後まで、常に「ロンリー・ガイ」は存在し続けるという大上段の再現からスタート。

主人公は、同様の先輩孤独男の忠告を素直に聞き、それなりの再出発を図るものの、当然、何ら上手く行かないという進行。

悪戦苦闘しながらも、偶然、知り合った女性とはウマが合う。ところが、その女性も問題アリという、都会ならではの孤独を抱え、どこか精神的に病んでいる人間らを茶化して行く。

思い込みによる先走りというか、それじゃダメだろという異性の気を引こうとする、一つ一つの設定が面白い。

当然、モテる男よりもモテない男性の方が圧倒的に多く、個人なり、個性が尊重されるニュー・ヨークでは、人口が多いがゆえに、さもありなんと思わせながら、観客たちも若い頃に、同じようなことをしでかしたよなと、ほろ苦さを喚起させてくる。

NYで孤独な男が女性獲得に奔走するという、似たような設定だとウディ・アレンの出世作「ボギー!俺も男だ」(1972)が先陣である。どうしても重ねて見てしまうが、本作のスティーヴ・マーティンはアクが強いながらも、ハンサムな印象を受けるので、些か分が悪いとも感じた。

それを補うのが、コメディ・センス抜群のチャールス・グローディンの存在。

真面目に演じた「キング・コング」(1976)は別としても、ウォーレン・ビーティ主演の佳作「天国から来たチャンピオン」(1978)や、主役のロバート・デ・ニーロを完全に喰った「ミッドナイト・ラン」(1988)、大統領の偽者が大活躍する佳作「デーヴ」(1993)など、彼が助演したゆえに面白さが増したと感じさせる名脇役。

監督も、ジャック・レモンの「おかしな夫婦」(1970)や、大ヒットした「ある愛の詩」(1970)など、NYを舞台にした作品が多いアーサー・ヒラー。ただし、あくまで普通に撮らない御仁でもある。

本作も然り。コメディながら、どこか身につまされる進行で、クールというか、シュールさを伴う作劇。

なので、都会ながらドライさでなく、ペーソスとウェット感が漂うコメディに仕上がっている。

余談雑談 2017年1月21日
氷点下の朝が続いた東京。みぞれが混じったりもしたが、一挙に豪雪になった地域の方は、さぞ大変だったろう。 こちらは雪が積もらなかっただけマシだが、いつになく寒い夜明けを連続体験した。 それでも、数分単位ながら夜明けが早くなってきている。春への