スタッフ
監督:カール・ライナー
製作:スティーヴン・フリードマン
脚本:フィル・アルデン・ロビンソン、ヘンリー・オレック
撮影:リチャード・H・クライン
音楽:パトリック・ウィリアムス
キャスト
コッブ / スティーヴ・マーティン
エドウィナ / リリー・トムリン
テリー / ヴィクトリア・テナント
ペギー / マドリン・スミス・オズボーン
ラサ導師 / リチャード・リバティーニ
シャイラー / ダナ・エルカー
マーゴ / セルマ・ダイアモンド
ワッテル / ジェイソン・バーナード
ホスキンス / エリック・クリスマス
日本公開: 未公開
製作国: アメリカ、キングス・ロード・プロ作品
配給: なし
あらすじとコメント
前回はスティーヴ・マーティンのコメディではない作品を紹介した。今回は、やはり彼が芸達者と感じさせるゴキゲンなコメディをチョイス。彼の主演作の中で、個人的にはツボの作品でもある。
アメリカ、ロサンジェルス弁護士ながらジャズ楽団のギタリストを掛け持ちしつつ生きる38歳のコッブ(スティーヴ・マーティン)。
だが、ミュージシャンとしての才能の限界と、弁護士事務所オーナーの娘との将来を考え弁護士業一本に絞ろうとしていた。意を決し、オーナーに専業すると伝えると、大変喜んで、余命幾ばくもない独身大富豪エドウィナ(リリー・トムリン)担当を命じられた。
ところが、彼女はとてつもなくワガママで、鼻持ちならない人物。しかも彼女は、全財産を馬丁の一人娘テリー(ヴィクトリア・テナント)に相続させるため遺言状を書き直せと命じる。驚くコッブに対し、自分の死後は輪廻し、彼女の体に乗り移るから問題ないのだと平然と言い放つ。
あまりの馬鹿らしさに反論するコッブ。すると体調が急変し、怪しいインド系の男が呼ばれて・・・
大嫌いな男女が一つの体に同居するというコメデイの佳作。
ビッグになりたいと願う若手弁護士と生まれながら病弱ゆえ偏屈の塊になった大富豪女性。
主人公が彼女を怒らせたことから彼女はショック死。ところが、怪しい霊媒師男の技術は本物で、本来乗り移りたかった使用人の娘の体ではなく、主人公に乗り移り右半身が彼女のコントロール下になってしまうという進行。
以後、鏡に映る時以外、ヒロインは登場せず、ナレーション的心の声として主人公と会話しつつのマーティンの一人芝居となっていく。
この展開が抱腹絶倒モノ。何せ、左半身は男としての行動を取りつつ、右半身は女性っぽい仕草で、まったく別な動作をしていくのである。
当然、周囲には主人公だけの行動として映るから厄介なのである。他人にはヒロインの声は聞こえないので、独りで叫んだり、喧嘩したりとおかしくなったと思わせる。
やがて、その事実を知るのが、主人公の愛犬と、盲目のジャズ仲間の黒人。
ところがというか、当然というか、遺産の行方がヒロインの思惑と違う方向に行くから、更に主人公自体がややこしい行動を取るようになる。
何せ、「平等」配分なので、左右全く別な動きとなり、当然、それが周囲の人間の眼にも更に異常に映っていくのだ。
細かいネタや下ネタを散りばめ、謎の霊媒師や私生活で問題を抱える弁護士事務所代表など、誰も珍妙なタイプの登場人物たち。
さてさて落としどころは、と思いながら見ていると、まあ、コメディだからアリかもねという大団円。
何よりもマーティンの独壇場であり、何ともハートウォーミングで、タイトルにもなっている楽曲も好きなジャンルなので、評価が甘くなっているとも感じるが、それも出来上がった映画をどう感じるかは個人差があるだろう。
他人と同調出来る個所と別な印象を持つことも作品に参加していること。
ただし、やはり劇場公開はされないよなと感じながらも、思い出してしまう愉しい作品。