東京に春一番が吹いた。三寒四温で、少しずつ春に向かうか。
その数日前、母親に朝から店番を頼み、護国寺にある某編集部に行った。要件はすぐに終わり、たまさかの外出なので、ついでだからと神楽坂近くまで散歩。目的は南イタリアに特化したパン屋兼カフェで休憩しようと思ったから。
風も静かで、春の予感を感じさせる晴天の昼過ぎ。だが、2月だからか、通りも店もいつもよりも静かであった。
久し振りですねとマスターに迎えられ、二人だけで雑談に花が咲いた。黄色いドアのガラス越しの晴天が心地良い。
ふと、折角だから、渋谷から新宿に移転した服屋にも行ってみるかと。マスターに、そこから新宿までの行き方を尋いたら、すぐ近くに新宿行のバス停があると教えてくれた。
昔は、近くでも車で出向いていたので、都内の道は大体知っていたつもりだが、どこを通っている路線なのか、まったくイメージが付かなかった。
少し、心が躍った。小旅行のような心持ちになったから。
空いたバスに座り、本当にこんな道があったかと興味津々で、この場所は沖縄に似ているなとか、ここは新宿区なのかと発見しきり。
ところが、行き着いた新宿の服屋には目ぼしいものはなく消沈。でも、時間はあるので近所を散策。
すると名前は聞いたことがあるファスト・ファッションとか呼ばれる類を売る服屋を発見。
女性ものがメインだが、男性ものも捨てたもんじゃなかった。目移りしたものの、そこは財布がウンと言わない。
結局、後ろ髪が引かれながら帰路に。春の予感と穏やかな午後。東京でも、まだまだ新たな発見があるなと感じられただけでも幸せな晴天の午後。
でも、何となく旅心に火も付いた気がするのだが。