天国から来たチャンピオン – HEAVEN CAN WAIT(1978年)

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スタッフ
監督:ウォーレン・ビーティ、バック・ヘンリー
製作:ウォーレン・ビーティ
脚本:エレイ・メイ、W・ビーティ
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:ディヴ・グルーシン

キャスト
ペンドルトン / ウォーレン・ビーティ
ベティ / ジュリー・クリステイー
ジョーダン / ジェームス・メイソン
コーキィ / ジャック・ウォーデン
アボット / チャールス・グローディン
ジュリア / ダイアン・キャノン
補助案内人 / バック・ヘンリー
クリム / ヴィンセント・ガーディニア
シスク / ジョセフ・メイハー

日本公開: 1979年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: CIC


あらすじとコメント

今回も、天国の手続き間違いで死ぬに死にきれない人間が登場。何ともハート・ウォーミングで良く出来た、往年のパラマウント調を踏襲したファンタジーの佳作。

アメリカ、ロサンゼルスフットボール・プレイヤ-のペンドルトン(ウォーレン・ビーティ)は、年齢的に盛りを過ぎたものの元気闊達な男。そんな彼の動きを見て、オーナーが次の試合でスタメン出場を指示した。

そして、その吉報は付き合いの長いコーチから誕生日祝いとして告げられ、有頂天になった彼は、喜び勇んで自転車で出掛けた。ところが、途中のトンネル内で交通事故に巻き込まれてしまう。

意識が戻った彼は、見知らぬ男と雲の中を歩いていた。これはきっと夢の中なんだろ、すぐに覚めるさと笑うが、ここから更に別な場所に移動すると言われ困惑する。つまりは自分は死んでいるのかと。

否や、これは何かの間違いだ。自分が死ぬはずがないと騒ぎだすペンドルトン。同行の男は、困り果て、上司であるジョーダン(ジェームス・メイソン)を呼んで・・・

設定と作劇が実に面白い、リメイク成功作の一本。

新人の「天国道案内人」のミスで死なないはずの男が、天国へ召喚されそうになる。

そんなバカと反論するのが本作の主人公だ。そこで上司が調べると主人公の主張通りと判明し、慌てて現実社会に戻そうとするが火葬後で肉体は消滅という展開。

オリジナルは「幽霊紐育を歩く」(1941)で、ストーリィは、主人公のスポーツが違うほか、ほぼ同じ。

また、原題は「HEAVEN CAN WAIT」であるが、これは名匠エルンスト・ルビッチの「天国は待ってくれる」(1943)と同じであるので混同しそうだ。

本作は、本来の肉体が消滅し、ならばこれから死ぬ人間になら乗り移れるとなる。ところが、主人公はフットボールの花形としてカムバック直前だったので、同じような肉体でないと納得しないと騒ぐ。

つまり、もう一度、現役復帰したいと。ところが、そんな上手いタイミングで、死にそうな人間はいないよなという展開。

思わずニヤニヤしてしまう。でもって不倫中の妻と秘書に殺される大富豪の体に、仕方なく間借りを決めるが、あこぎな金儲けの犠牲となり、故郷が消滅すると抗議に来た英国女性に恋をするから、ややこしくなっていく。

面白いのは筋運びだけでない。道案内人と主人公は魂だけという設定だから、他人には見えず観客だけに見えるのは当然。

それは有りがちだ。だが、主人公は他人の肉体に入り込むが、その人間ではなく、ビーティが演じ続けるので「?」が付く。だが、観客側も神視線なので、死ぬはずのオリジナルの人間でなく、魂の入ったビーティが見え続けると説明がある。

成程、上手い設定で、ならばこちらも安心して観て行ける。

ところが、それにより、オリジナルの人となりがビーティ同様解らないので、どんな奴だったのかと興味が生じてい行く。

何たって、金もうけのためには他人を犠牲にし、原発開発からイルカを食用にしようという酷い奴らしく、妻や秘書、ブレーン、召使までが、ビーティ相手にオリジナルが蘇ったと勘違いして言動していくのでニヤニヤが加速する。

出演陣では、魂が乗り移った大富豪に、困惑しながらも、心は主人公であると確信していくコーチ役のジャック・ウォーデンと、「天国案内人」の上司役を軽妙に演じるジェームス・メイソンが秀逸。何とも憎めない悪徳秘書役のチャールス・グローディンも捨て難い。

設定と展開の面白いファンタジーで、好印象の作品である。

余談雑談 2017年2月18日
東京に春一番が吹いた。三寒四温で、少しずつ春に向かうか。 その数日前、母親に朝から店番を頼み、護国寺にある某編集部に行った。要件はすぐに終わり、たまさかの外出なので、ついでだからと神楽坂近くまで散歩。目的は南イタリアに特化したパン屋兼カフェ