突入せよ!「あさま山荘」事件   平成14年(2002年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:原田眞人
製作:原正人
脚本:原田眞人
撮影:坂本善尚
音楽:村松崇継

キャスト
佐々 / 役所広司
宇田川 / 宇崎竜童
野間県警本部長 / 伊武雅刀
内田第二機動隊長 / 豊原功輔
兵頭参事官 / 篠井英介
山野小隊長 / 遠藤憲一
後藤田長官 / 藤田まこと
小雀 / 松尾スズキ
小雀真理子 / 篠原涼子
佐々幸子 / 天海祐希

製作国: 日本 東映、アスミック・エース作品
配給: 東映


あらすじとコメント

45年前、日本の報道番組史上、最高平均視聴率を弾きだした事件。生中継により、交通事故や犯罪まで減り、日本中が注視した籠城事件の顛末を描く作品。

長野県 軽井沢1972年2月、新左翼「連合赤軍」のメンバー数名が、以前奪った銃と弾薬を持ち、警察による包囲網が狭められた挙句、長野県警と銃撃戦を起こした。そしてメンバーらは近くの「あさま山荘」に管理人の妻を人質に立て籠もった。長野県警は厳重警戒態勢を敷く。

その報を聞いた警視庁長官の指示は、香港から帰国したばかりの佐々警視正(役所広司)を呼び、警察庁と警視庁の合同チームを編成し、長野に送ることであった。

先ず、人質の無事救出を第一に、犯人全員の生きたままの逮捕、身代わり人質交渉の拒否、銃器使用の際は長官の指示を受けるという内容だった。

佐々は上司や部下を引き連れ長野県警に乗り込んだ。しかし、長野県警は地元の面子から東京の指示下に入ることを嫌い、軋轢が生じる。

立て籠もりグループとは、一切、連絡が取れず、人質の安否も不明のまま時間だけが過ぎ・・・

連合赤軍が起こした籠城事件を警察側から描いた作品。

日本を震撼させた大事件であり、TVの普及により完全生中継され続けた。突入当日のNHK報道特番の平均視聴率は50.8%を記録し、現在も破られていない歴史的事件である。

本作が描くのは、そこに行き着くまでのドラマである。

要は、体制側の派遣争いと面子による混乱が主であり、立て籠もりグループや人質には一切触れない進行。

東京と地方、警察庁と警視庁、投入される機動隊内部の派閥が複雑に絡み合い、計画がまったく進行しない無様さを描いていく。

更に、銃器の使用制限が厳にあり、赤軍側は何百発と撃って来るのに反撃も出来ないという状況。しかも、警察側に負傷者が続発し、死者まででてしまう。

それでも、マスコミを通し日本中が固唾を飲んで注視しているので、一切、発砲できないまま時間だけが過ぎて行く。

面子ばかり気にする上層部や、官僚たち。そんなことでは、当然、現場は大混乱である。

ただ、歴史的事実なので、人質の生死を含め、誰もが結果を知っている。

何とも歯痒い展開で、責任転嫁と主導権争いだけは、それぞれが必死に守ろうとする体制側。

その板挟みで苦労の波状攻撃が押し寄せるのが現場で指揮を執った佐々淳行。

実在の人物で、彼自身が書いた原作がベースである。かなり細かい描写もあるが、どうにも警察賞賛ばかりと感じた。確かに銃弾降り注ぐ中、放水程度での応戦しか出来ず、仲間らに犠牲がでれば平静でいられなくなるのも頷ける。

結果、同年の西ドイツ、ミュンヘンオリンピックでの人質殺害事件が決定打となり、日本でも警察庁は特殊部隊編成という流れになっていく。

敢えて、山荘内部のドラマを一切、描かないことで印象を散漫にさせなかった進行は認めるが、あまりにもみっともない体制側のくだらないプライドばかりを描かれても、何だか、奇異に感じた。

それなりに緊張感を伴ってラストへ向かうが、カタルシスが昇華しないのもその所為かもしれない。

余談雑談 2017年2月22日
今回の都々逸。 「野辺の茅花も時節が来れば 人の目につく花となる」 成程、君には将来があると。だから、若いうちは苦労しろ、てなことを言うと、何とかハラスメントと言われるご時世だよな。 尤も、SNSとやらで、若いうちから自分の表現したいことを