夜の豹 – PAL JOEY(1957年)

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スタッフ
監督:ジョージ・シドニー
製作:フレッド・コールマー
脚本:ドロシー・キングスレー
撮影:ハロルド・リップスタイン
音楽:リチャード・ロジャース

キャスト
ヴェラ / リタ・ヘイワース
エヴァンス / フランク・シナトラ
リンダ / キム・ノヴァック
グラディス / バーバラ・ニコルス
ギャルヴィン / ボビー・シャーウッド
ミギンス / ハンク・ヘンリー
ケイシー夫人 / エリザベス・パターソン
警官 / ロバート・アンダーソン
踊り子 / リタ・バレット

日本公開: 1958年
製作国: エセックス G・シドニー・プロ 作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

前回の「ハート・オブ・ウーマン」(2000)の主人公はプレイボーイ。次々と女性をモノにしていく男で、フランク・シナトラのファンでもあった。ならば、シナトラ本人がプレイボーイを演じた作品にしてみた。往年のアメリカを懐かしむには好材料の作品。

アメリカ、サン・フランシスコクラブ歌手のエヴァンス(フランク・シナトラ)は、地方都市で市長の未成年の娘に手をだそうとして着の身着のままで追放され、消沈してサン・フランシスコにやって来た。

全くの無一文なので仕事を探すが、手癖の悪さの評判が定着していて、どこにも雇ってもらえない。それでも、旧知の楽団リーダーを見つけ、無理矢理ステージに飛び入り、経営者から仕事の許可を得た。とはいっても、そのステージのダンサー、リンダ(キム・ノヴァック)を見初めたからだ。ところが、彼女はバンド・リーダーも狙っている女性。それでも、何とか取り入ろうとするエヴァンス。

そんな彼に、社交クラブでの出張出演が入り、楽団やリンダらと向かう。そこで、顔見知りの女を見つけた。現在は上流階級のマダムになっているが、元は裸踊りで名を馳せたヴェラ(スーザン・ヘイワード)だ。驚く両人。

それでも、エヴァンスは薄ら笑いを浮かべると、ステージ上で元名ダンサーのヴェラに踊って貰おうと言いだして・・・

口八丁手八丁の色男が繰り広げる愛憎ドラマの佳作。

気に入った女を見つけるとすぐに口説くプレイ・ボーイ。反省などしない風情で、場当たり的。無一文でも、そこは口八丁で切り抜ける。

何とも嫌な奴が主人公。そんな奴の処世術や恋愛ドラマなど見て行けるかと思うかもしれないが、そこは流石。

何故なら、その主人公を演じるのがフランク・シナトラだから。彼自身、マフィアとの噂も絶えず、かといって唄もうまくて、キザが見事に様になる。それが大スターのオーラというものかと感じるから。

そこに絡むのはリタ・ヘイワースとキム・ノヴァックという、タイプが異なりながらも、別なイヤらしさと色気を醸す美女二人。

ヘイワースは、かなりしたたかな「ファム・ファタール」。最初こそ、主人公の横暴さに閉口しつつも、やがて、『勝ち組成金』として懐柔していくタイプ。

一方のノヴァックは、田舎出の真面目な踊り子という好対照な存在。

要は、自分の店を持ちたいと願う主人公との三角関係がメインでの進行。

そこに緩衝材というか、接着係として、バンド・リーダー、酒場経営者、犬が絡んでくる。

しかも、唄って踊れる三人がメイン・キャストなので、ミュージカル調。楽曲も、当時のノリが良くて聞きやすいスタンダードが中心。

後にシナトラの十八番になる「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」も登場してくるが、劇中で唄うのは彼ではなく、キム・ノヴァック。

そういうギャップも楽しいし、タイプの違う女性を演じる女性二人も、とても魅力的。

本人をイメージさせるシナトラも上手い。それに芸達者な犬が絡めば、当時としては、安心して観て行ける内容。

女心を解っているようで解ってないプレイ・ボーイ氏が、泥沼愛憎劇を繰り広げるのだが、妙な重苦しさを緩和する楽曲を散りばめ、出演陣の妙味も重なり、不思議な感覚に陥りながらも、何故か笑みがこぼれる佳作。

ただし、男目線だろうが。

余談雑談 2017年3月18日
最近ハマっているTV番組がある。ローカル局であるテレビ東京で放映されている深夜番組「バイプレイヤーズ」。 大杉漣、松重豊など、あちらこちらで顔を見る脇役専門の癖のある男優ばかり6名が、中国のチャン・イーモウ監督が「七人の侍」をリメイクするの