スタッフ
監督:ピーター・テュークスベリ-
製作:エヴェレット・フリーマン
脚本:ノーマン・クラスナー
撮影:レオ・トーヴァー
音楽:ピーター・ネロ
キャスト
ミッチェル / ロッド・テイラー
アイリーン / ジェーン・フォンダ
タイラー / クリフ・ロバートソン
ウィルソン / ロバート・カルプ
ドライスデール / ジム・バッカス
モナ / ジョー・モロー
モーガン / レイフォード・バーンズ
手漕ぎボートの青年 / ジム・ハットン
ピーター・ネロ / 彼自身
日本公開: 1964年
製作国: アメリカ、セヴン・アーツ 作品
配給: MGM
あらすじとコメント
ニュー・ヨークとジェーン・フォンダ。前回は春を売るコール・ガール役だったが、今回は、何と処女の設定。ズバリ「セックス」を扱う、当時としては、結構笑えるコメディ作品。
アメリカ、ニュー・ヨークとある日曜日、マンハッタンに住むパイロットのタイラー(クリフ・ロバートソン)を訪ねて、州都のオールバニから妹のアイリーン(ジェーン・フォンダ)がやって来た。
だが、兄には、久々に会う恋人とのデートの予定があった。しかし、敬虔な家族で育った彼女は、家族の教えを守り、22歳にして処女で、当然、兄も結婚するまでは清い生活を送っていると信じている。
そこへ、兄の恋人がやって来るが、彼の咄嗟の機転で、妹を誤魔化し、恋人と逃げるように外出した。とはいっても目的は久々にベッドで燃え上がろうとしているから始末に悪い。何とか、友人の部屋を借りようとするが、そうは簡単に問屋が卸さない。
一方、部屋にいたアイリーンは、兄の上司からの緊急呼出しに驚き、兄たちを探すべくバスに飛び乗った。
そこで彼女のブローチが、見知らぬ乗客のミッチェル(ロッド・テイラー)の胸ポケットに絡まってしまい・・・
男女関係を巡る、チョット下品ながら面白いコメディ。
真面目で処女のヒロイン。そんな彼女が、女性大好きな男にナンパされ、嫌よ嫌よと言いながら、やはり異性への興味から、身も心もムズムズし始めるという展開。
とはいっても、製作された時代を考えると仕方ないものの、やはり、どこか中途半端というか、むず痒い進行ではある。
そもそもヒロインとナンパ男が知り合う切っ掛けも、混雑するバスでヒロインのブローチが相手の胸ポケットに刺さって、顔と体を近付けないとどうにもならないという、当時としてもベタ過ぎるシチュエーション。
やはり、ありがちのコメディかと、馬鹿にしながら観ていくと、中盤から急に盛り上がるから、何とも洒落てると感じた。
ナンパ男にも独自の価値観があり、とは言いつつも、という男性目線の展開が加味されたり、お兄さんと恋人のすれ違いというか、ジェット機時代ならではの遠距離移動が発生し、それこそ、日本映画の「君の名は」的シチュエーションが、飽きそうになる展開に薬味的に挿入されてくる。
しかも、そもそもヒロインが、兄の元に相談に来た理由が、地元の恋人の存在で、その彼氏自身も登場して来て、更に、こんがらがる。
そんな展開の中、ナンパ男は記者であり、東京に転勤するという、日本人としては、笑って良いのか、国辱かと思わせる設定もあり、しかも、誤解と詭弁と取り繕いとややこしくなっていくから、日本料理屋で一同が会する場面は、思わず笑ってしまった。
まあ、ヒロインを演じるジェーン・フォンダが処女に見えるかどうかという根本的配役センスもあるし、ナンパ男役のロッド・テイラーもオーバー・アクトではある。
そんな中で、抜群の緩衝材というか、芸達者振りを見せるのが、兄役のクリフ・ロバートソン。彼なしでは、ここまで面白くはならなかったであろうと感じる。
そもそも、たった一日の出来事なのだが、登場人物らにとっては二十年ぐらいのトラブルが起きるという、時代性は感じるものの、中々、良く出来た音楽も魅力的なコメディ作。