巨星ジーグフェルド – THE GREAT ZIEGFELD(1936年)

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スタッフ
監督:ロバート・Z・レナード
製作:ハント・ストロンバーグ
脚本:ウィリアム・アンソニー・マクガイア
撮影:オリヴァー・T・マーシュ 他
音楽:アーサー・ラング

キャスト
ジーグフェルド / ウィリアム・パウエル
ビリー / マーナ・ロイ
アンナ / ルイーゼ・ライナー
ビリングス / フランク・モーガン
オードリー / ヴァージニア・ブルース
サンプソン / レジナルド・オーウェン
シドニー / アーネスト・コッサート
サンドウ / ナット・ペンドルトン
レイ / レイ・ボルジャー

日本公開: 1936年
製作国: アメリカ R・Z・レナード・プロ作品
配給: MGM


あらすじとコメント

「一ダースなら安くなる」(1950)で、いかにも良妻賢母という母親を演じたマーナ・ロイ。そんな彼女が出演したMGMミュージカル初期の金字塔を扱うことにした。

アメリカ、シカゴ1893年、この地で開催されていた万国博覧会で、怪力男の興行を行っていたジーグフェルド(ウィリアム・パウエル)だが、ライバルのビリングス(フランク・モーガン)のエジプト美女興行に鼻を明かされいた。ところが、持ち前の口八丁的詐欺師まがいの言動で、次々とビリングスの邪魔をし始める。

遂には、ビリングスが渡仏して契約しようとしていた美人歌手アンナ(ルイーゼ・ライナー)に目を付け、色男振りと口先だけで籠絡し、契約を掻っ攫ってしまう。

しかし彼女はフランス訛りがひどく、すぐにはアメリカ国内で売りだせなかった。それでもジーグフェルドは・・・

実在した興行王の生涯を豪華絢爛なレビューを再現しつつ見せる大作。

まさにアメリカン・ドリームの実現者であるが、大博打でもある「興行」という世界で、まるで詐欺師かジゴロのように相手に取り入ったり、煙に巻いたりして伸し上がって行った男。

故に何度も破産したり、離婚と再婚を繰り返したりと、まさしく劇場型の人生を歩む姿を描いていく。

それゆえ、3時間という超大作であり、製作費も桁違い。

前半部は主人公の人となりを紹介するので冗漫さを感じさせるが、ライバルとの確執シーンや、女性に取り入るノウハウなど、多少は勉強になる場面が続き、やがて時代の先端を行く『女性を惹きつけるレビュー』を開発し大成功を収めていく。

特に中盤で初めて披露されるレビューは圧巻の一言。「ザッツ・エンタテインメント」(1974)にも登場したウエディング・ケーキを連想させる4階建ての階段状舞台で繰り広げられる場面など、まさしくスペクタクルである。

それ以外にも、奥行きを強調した舞台装置や、横へスライドする小分けされた装置の中で、美女が大勢で踊るシーンも素晴らしい。

今観ても豪華絢爛であり、これぞアメリカのショウビズだと溜息がでる。兎に角、観客の度肝を抜く舞台演出は、どれも素晴らしい。

また、姉妹編のカラー作品として「ジークフェルド・フォリーズ」(1946)も制作された。そこでも、ジーグフェルドを演じたのは本作と同じくウィリアム・パウエルである。

本作では、実際に彼が見いだしたファニー・ブライス、ウィル・ロジャース、エディ・カンタ─なども本人役で登場し、往年の姿を見せてくれる。

ただの善人的頑張り屋でなく、『山師』という側面が強調されたり、女性たちも脆弱さや、したたかさを醸す様々なタイプが登場し、いかにもショウビズ界にいそうな輩ばかり。

そういった世界の明と暗を描き、主人公の栄枯盛衰を描いている。

とてもバランスを考えた作劇であり、一応のメリハリを感じさせはするが、個人の半生を描く大河ドラマながら、豪華絢爛なレヴュー場面しか印象に残らぬ作品とも感じ、逆にそれこそが彼自身の人生に重なるという長尺大作。

余談雑談 2017年6月10日
PC関係で世話になっている後輩。元々、こちらに住んでいたが、家族の関係で現在は近畿地方に在住中である。 そ奴が、このメルマガを見て、笑いながらやって来た。骨折お見舞いだと。肋骨骨折の内容を見て、思わず笑ってしまった、とか。 失礼な、と思った