西部の男 – THE WESTERNER(1940年)

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スタッフ
監督:ウィリアム・ワイラー
製作:サミュエル・ゴールドウィン
脚本:ジョー・スワーリング、ナイヴン・ブッシュ
撮影:グレッグ・トーランド
音楽:ディミトリ・ティオムキン

キャスト
ハーデン / ゲーリー・クーパー
ビーン / ウォルター・ブレナン
ジェーン=エレン / ドリス・ダヴェンポート
マシューズ / フレッド・ストーン
ハーバー / フォレスト・タッカー
チキンフット / ポール・ハースト
コブル / ダナ・アンドリュース
サウスウエスト / チル・ウィリス
リリー / リリアン・ボンド

日本公開: 1951年
製作国: アメリカ S・ゴールドウィン作品
配給: 大映洋画部


あらすじとコメント

「我等の生涯の最良の年」(1946)で二度目のアカデミー監督賞を受賞した名匠ウィリアム・ワイラー。そんな彼が手掛けた西部劇の佳作。

アメリカ、テキサス南北戦争は終わったが、ある地域に一帯を仕切る元南軍将校で、自称「判事」のビーン(ウォルター・ブレナン)がいた。

そこは新たに移住してきた農民と牛を飼う牧童の間で、いざこざが絶えない場所でもあった。そんな中でビーンは牧童側に付き、気に入らぬことがあると裁判と称して縛り首に処すので『首吊り判事』との異名もあった。

そこに、流れ者のハーデン(ゲーリー・クーパー)が馬泥棒の容疑で引き立てられてきた。ハーデンは買ったと言い張るが、どうにも判事らは信用していない模様で、判決は決まっているようだ。

だが、壁中に貼ってある美人女優リリー・ラングトリーの写真を見て、実は自分は彼女の知り合いだと言いだすハーデン。

途端に目の色が変わったビーンの反応を見た彼は・・・

地域を仕切る悪徳ボスと流れ者の奇妙な関係を描く佳作。

横暴で強権な支配者。人を人と思わず、農民の命より、牛の方に価値があると言い切り、気に入らぬものは吊し首にする。

方や、濡れ衣を着せられた流れ者。そんな流れ者に肩入れする農民の娘。

主役は流れ者役のクーパーだが、敗軍でありながら、己の価値観で地域を制圧し、新参者の農民を忌み嫌うという完全なる悪者が、むしろ主役である。

確かに、流れ者である主人公は、死刑に処されそうになるものの、知恵者ゆえ難を逃れるが、今度は農民側に付いたと思えば判事たち双方の立場を尊重したりする。

何とも、優柔不断な知恵者として描かれるが、それこそが民主主義であり、武力と権力で制圧するのではなく、話し合いで妥協点を見いだし共存しようと推し進めるタイプの男。

しかし、牧童も農民も単純なタイプ達ばかりで、どっちの味方かハッキリしないから困惑し、双方から恨まれる展開。

本心は違っているものの、どうにも優柔不断な男という印象を与えるクーパーより、断然、単純で完全な悪者でありながらも、憎めないチャーミングさを漂わす、判事役のウォルター・ブレナンの存在感が圧倒的。

本作でアカデミー助演男優賞を獲得したのも頷ける。大スターのクーパーや、ストーリィよりも、ブレナンの印象しか残らないと感じたほど。

それでも、普通に流れるような人間描写から大きなアクションへの転調など、違和感を感じさせない演出を見せるウィリアム・ワイラー監督の手腕は大したもの。

ただ、逆に大袈裟な変調がないので、メリハリに欠けると感じる観客もいようが、それこそがワイラー節でもある。

事実、この内容を同じ役者で、別な監督が作ったら、まったく違う印象を受けただろう。

さりげない流麗さゆえ、強い印象を受けないが、それでも良く出来た作品であると感じる。

余談雑談 2017年6月24日
本当に梅雨か疑わしい東京。これからが本番だという予報もあるようだが、一方で降水量が多かった沖縄は梅雨明けした。 今年は色々あって、未だに訪沖してない。これから沖縄は暑くなり、八月のお盆過ぎには台風シーズンに突入。つまり、今頃から旅行代金が高