スタッフ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作:F・F・コッポラ、グレイ・フレデリクソン、F・ルース
脚本:F・F・コッポラ、マリオ・プーゾ
撮影:ゴードン・ウィリス
音楽:ニーノ・ロータ
キャスト
マイケル・コルレオーネ / アル・パチーノ
ヴィトー / ロバート・デ・ニーロ
ヘイゲン / ロバート・デュヴァル
ケイ / ダイアン・キートン
フレド / ジョン・カザール
コニー / タリア・シャイア
ロス / リー・ストラスバーグ
ペンタンジェリ / マイケル・V・ガッツォ
ファヌッチ / ガストーネ・モスキン
日本公開: 1975年
製作国: アメリカ ザ・コッポラ・カンパニー作品
配給: CIC
あらすじとコメント
前回の「悲しみは空の彼方に」(1959)にも出演していたトロイ・ドナヒューという男優。二枚目で売り、肉体を誇示するビーチものばかりの印象が強いが、それらに大した作品はない。なので、こんな秀作にも出演していたので扱う。文句なく映画史に燦然と輝く映画の続編。
アメリカ、ネヴァダ1958年、偉大な父の死後、マフィアの一家を引き継いだマイケル(アル・パチーノ)は、今後のことを考え、本拠地をニュー・ヨークから移した。ラスヴェガスが近かったからだ。
彼のひとり息子の聖餐式があり、家族一同、先代から忠誠を誓うヘイゲン(ロバート・デュヴァル)らが出席して厳かに執り行われ、その後は盛大なパーティーが催された。しかし、そんな中でもマフィアを見下す上院議員との面談や、問題を抱える兄弟たちをいさめたりと忙しいマイケルであった。
時代は遡り1901年、マイケルの父親であるヴィトーが、シチリア島の寒村から単身移民してきた。9歳の少年であったが、村でドンに逆らい、父親と兄を殺され、彼自身も男子直系ということで命を狙われていたからだ。
そんな子供が、たったひとり言葉も通じない大陸に上陸し・・・
イタリア系マフィア・ファミリーの壮絶なドラマを描き切った秀作。
前作「ゴッドファーザー」(1972)で扱えなかった先代ドンの若い時代と、組織を継承した若い次男坊の苦悩を交差させつつ描く進行。
最終的には偉大過ぎた先代の影を引き摺りざるを得ない若き跡取りの苦悩へと集約していくのだが、話は年代があちらこちらに飛び、些か混乱する人もいるだろうか。
それでも、『家族』と『血』という貧しいイタリア人家系の壮大な流れを丁寧に描き、観る者を圧倒する。
直系や先代からの部下、敵対するユダヤ系マフィアや政治家。そういった一癖も二癖もある年長の人間たちと渡り合い、時には裏切り血祭りに上げていく。
その他にも、家庭や兄弟らの複雑な関係も絡まり、人間の『業』と『性』を綴っていく。
第一作で家業を嫌い、真面目に生きようと奮闘しつつ、最後は血の流れでドンの後釜に座るアル・パチーノの演技の見事さに鳥肌が立ったが、本作では、その他に、若き先代を演じるロバート・デ・ニーロの存在感も忘れ難い。
だが、個人的には二作を通してファミリーの懐刀という同じ役を演じるロバート・デュヴァルの控え目ながら、抜群の切れ者と感じさせる演技に釘付けだった。
二作で原作を描いたのだが、こちらはいささか複雑な時間軸で描かれるので、TV用に先代の幼少期から時間を追って描かれる「ゴッドファーザー・サガ」(1977)も作られた。
映画ファンの自分としては、若干、複雑な時間軸の中で様々な人間が交錯し、やがて主人公である若きドンの個人としての苦悩へと集約していく編集に、これぞ映画であり、見事なる交響楽であると感じる。
しかし、何といっても、コッポラの手腕よりも、イタリア映画音楽界の巨匠ニーノ・ロータの壮大な音楽が耳から離れない。アメリカ映画ながら、完全にイタリア的として印象付け、複雑な心持の中、陶酔して行けるから。
見事なるアンサンブルの結晶であり、映画史に残る秀作である。