もう9月である。天候不順な夏で、妙な体調のまま、暦の上では秋。
で、94年前の大正12年の昨日。「関東大震災」があった。もう一世紀近く前だし、日本でも以後、数多くの激甚災害と呼ばれる地震が起きている。
自分は東日本大震災の経験しかないが、忘れられないのは関東大震災での祖父の実体験だ。
浅草の油問屋に丁稚として奉公し、丁度、配達中の昼前、上野の山の北東側、入谷付近で震災に遭い、荷物を山積みした大八車を引っ張りながら眼前の坂道を上ったと。その途中、俗に「十二階」と呼ばれていた『陵雲閣』が崩落していくのを見たと言っていた。
それから一週間、奉公先に嫁いでいた祖父の叔母は、帰ってこないので死んだと思っていたら、ひょっこりと戻ってきたとか。しかも、大金を持って。
祖父曰く、避難民で溢れる上野公園で配達用の油を全部売り切り、避難に必要だろうと大八車まで売り払ったと。しかも、浅草方面は火の海で、逆に叔母がダメだったろうと思っていて、田端にいた別な親戚の家に身を寄せていたとか。
逞しき商魂と良き判断である。その遺伝子が自分に残っていれば、会社を清算せずに済んだろうなとも感じるが、それはそれだよな。
兎に角、父も言っていたが、我が家は悪運が強い血筋らしい。そこは遺伝していてもらいたいが、これは考えようかもしれない。二度ほど骨折を経験しているが、災難と取るか、骨折で済んだと思うべきかで心積もりも違ってくるかね。
まあ、今後も震災なり、事故に遭遇することもあるだろう。その時に、どう動くか。もしくは動かぬ方が良い選択か。
でもな、人生など願い通りや思い通りに行くことはないよな。
となると、やっぱり努力よりも他力本願な人生てなことになるわな。
じいちゃん、ゴメンな。