オスカー – THE OSCAR(1966年)

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スタッフ
監督:ラッセル・ラウズ
製作:クラレンス・グリーン
脚本:ハーラン・エリスン、R・ラウズ、C・グリーン
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽:パーシー・フェイス

キャスト
フェーン / スティーヴン・ボイド
ケイ / エルケ・ソマー
ケリー / トニー・ベネット
カプステッター / ミルトン・バール
ソフィー / エレノア・パーカー
レーガン / ジョセフ・コットン
イェール / アーネスト・ボーグナイン
クェンティン / ウォルター・ブレナン
保安官 / ブロデリック・クロフォード

日本公開: 1967年
製作国: アメリカ グリーン、ハース・プロ作品
配給: パラマウント


あらすじとコメント

知名度の低いアメリカの監督ラッセル・ラウズ。日本での公開作も少ないので仕方ないが、それでも捨て難い作品もある。そんな一作で、ハリウッド映画界の内幕を、実にイヤらしく描いた人間ドラマを選んでみた。

アメリカ、ニュー・ヨーク売れない芸人のフェーン(スティーヴン・ボイド)は、マネージャーのケリー(トニー・ベネット)と踊り子ローレル(ジル・セント・ジョン)の三人で地方の場末店を巡業していた。上昇志向の強いフェーンは短気でもあり、ギャラをごまかした店のオーナーを殴り金を奪って逃走したが、緊急逮捕された。

結局、無一文になり、三人はNYにやって来た。そこでフェーンはデザイナー志望のケイ(エルケ・ソマー)を見初め、恋人であるローレルを蔑ろにして口説きだす。しかし、身持ちの堅い彼女は簡単には落ちない。益々、執拗に口説くフェーン。そんな彼だったが、一方で、演劇関係の仕事をする中年女ソフィー(エリノア・パーカー)とも知り合う。

そして、夢に見た大スターへの踏み台にしようと思い・・・

性格最悪の男が映画界の頂上を目指そうとする生き様を描く佳作。

幼少期に母親にされた仕打ちから、完全なる女性蔑視になった男。しかも、上昇志向が強すぎて自惚れ屋。

当然、利己主義の塊でもあり、蔑視は女性に限らず、目上であろうとお構いなしに、人間全員に対し向けられる。

何とも最悪の男が主人公だ。そんな男に翻弄される人々を描きながら、芸能界内幕モノとして進行していく。

この手の作品はかなりあるが、本作は容赦ないほどキツめな作劇。確かに、俳優とは別人格を演じることが普通に出来る職業なので、ある意味では、本質を突いているともいえるのだが。

しかし、取り巻きの業界関係者ではない相手らをも蹂躙していくので、彼が大出世するハッピー・エンドは誰もが期待出来ないだろうが。

ファースト・シーンはアカデミー賞授賞式の場面から始まる。何と主演男優賞候補者の中に、主人公がいるのである。しかも、司会は長年司会を続けたボブ・ホープ自身。他の候補者にはリチャード・バートン、バート・ランカスターの名前もある。

実にヤラしい幕開けで始まり、回想形式で主人公がどのように、そこに行き着くかを描く手法。

名曲「思い出のサンフランシスコ」で有名な歌手トニー・ベネットを主人公のマネージャー役という出ずっぱりの準主演に起用したり、コメディアンとして有名なミルトン・バールを、一切、笑顔も見せない芸能エージェント役で使ったりと、かなり人を喰った起用。

更には、本来、表にでない衣装担当で有名なイーディス・ヘッド、映画コラムニストのエダ・ホッパーを本人役で登場させる。

その上、以外な職業に就いている元ヴェテラン俳優にピーター・ロフォード、後半重要なカギを握る男にアーネスト・ボーグナインなど、映画ファンなら、ニヤニヤする出演陣。なのに、一切、笑えないという複雑な心境に追い込まれていく。

やはり、ラッセル・ラウズ監督の力量は大したものである。

原作は、脚本家と監督をこなすリチャード・セイル。代表作は、客船の沈没で8人乗りの救命ボートに27人もの生存者が群がり、やがてエゴがぶつかり合っていく壮絶な佳作「二十七人の漂流者」(1956)。

そこでも脚本と監督を兼ね、本作の主役であるステーヴン・ボイドが出演している。

つまり、ドロドロとした人間関係と壮絶なエゴを描かせたら力量を発揮する御仁。

ある意味、アメリカらしい人間像の集約でもあり、華やかに見えるのは実は表層部分だけであると悪寒を喚起させる作品。

余談雑談 2017年9月16日
また、お気に入りの店が閉店した。月に一度、整体を受けるために国技館のある「両国」に行っている。 元々は飯田橋にあったが、再開発で移転した治療院だ。自室に、より近くなったのだが、交通の便が悪く、結局、徒歩で通うことにした。 しかも、忙しい方で