ライムライト – LIMELIGHT(1952年)

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スタッフ
監督:チャールズ・チャップリン
製作:チャールズ・チャップリン
脚本:C・チャップリン、L・ラッセル、R・ラッシュ
撮影:カール・ストラス
音楽:チャールズ・チャップリン

キャスト
カルヴェロ / チャールズ・チャップリン
テレーザ / クレア・ブルーム
カルヴェロの同僚 / バスター・キートン
ネヴィル / シドニー・チャップリン
ボダリング / ノーマン・ロイド
ポスタント / ナイジェル・ブルース
オルソップ夫人 / マージョリー・ベネット
テレーザ担当医師 / ウイーラー・ドライデン
カルヴェロ担当医師 / レオナルド・ムディエ

日本公開: 1953年
製作国: アメリカ ユナイト作品
配給: 松竹


あらすじとコメント

厄介な『役者』という職業。前回の「パーティ」(1968)では、インド人の売れない俳優がセレブと自惚れる人間たちを巻き込むコメディだったが、今回は老境に差し掛かったボードビリアンの生き様を描く作品。喜劇王チャップリン晩年の秀作。

イギリス、ロンドン第一次大戦が始まった1914年のこと。とある昼下がり、かつて名声を得ていたボードビリアンのカルヴェロ(チャールズ・チャップリン)が、酔っ払ってアパートに帰って来た。アル中なのか、建物の入り口の鍵も上手く開けらないほどの酔いっぷりだ。道路で遊ぶ子供たちに笑われつつ、何とかアパートに入った。

部屋のある3階に上ろうとするが、1階の部屋からガス臭がするの感じた。驚いてドアを蹴破るとベッドに横たわるテレーズ(クレア・ブルーム)がいた。

慌てて医師を呼ぶカルヴェロ。睡眠薬を服用してガス自殺を図ったようだが、発見が早く事なきを得た。ただ、丸二日は要注意ということで、カルヴェロは3階の自室に彼女を連れ込んだ。

やがて、テレーズは意識を取り戻したが・・・

落ちぶれたボードビリアンの心意気と晩節を描く秀作。

精神的圧迫から自殺を図ったバレリーナ。そのことが露呈するとアパートを追いだされることから、ニセ夫婦として回復するまで若い娘を看病しようとする主人公。

ヒロインは回復するも、足が動かないからバレリーナ生命は終わりだと嘆き悲しむ。それが精神的なことが原因だと知る主人公だが、彼女はそう簡単に意識改革を出来ない。

そこで、叱咤激励していくのだが、彼女が徐々に心を開いてきたころから、逆に主人公に災難が降り掛かってくるという展開。

目新しいストーリィではないが、制作、監督、主演、脚本、音楽までこなすチャップリンに掛かっては、流石だと引き込まれていく。

しかし、それはチャップリンという存在をある程度、知っている前提である。映画がサイレントの白黒時代から、自身のスタイルを確立し、世界中にファンを作って来た人間である。

日本でも、映画の神様と呼ばれた淀川長治や、コメディアンの萩本欽一といった、様々な人間に影響を与えてきた映画人である。

当然、黎明期の映画では画像が全て。故にチャップリンとして確立された『パントマイム』という芸風を見せつけるシーンが、何度も登場してくる。

人によっては、それが映画のトーンを乱すとか、長過ぎるという印象を持つ人もいよう。ただ、幼少の頃から、背伸びして映画を追い続けてた人間としては、チャップリンの晩節を感じ、絶句する作品である。

彼らしい名台詞の数々や、自分の得意技に持ち込むために用いられる手法など、今、見返すと涙を禁じ得ない。

特に本作の白眉は、チャップリンと好対照に評じられた、やはりサイレント時代のレジェンドであるバスター・キートンの起用であろう。

終盤のキートンとの共演場面は涙なしでは観て行けない。

録画なりして簡単に再見出来ない時代。自分たちは、かつて名声を博したが、進歩と時代の流れと共に忘れ去られた「かつての大スター」という立場を逆手に取った作劇。

自分より年長の、当時の映画ファンなり、評論家は、もっと涙を禁じ得なかったであろう。

優しく、いつまでも心に残る主題曲とともに、「晩節のボードビリアン」と謳いながら、製作当時、既に『真のレジェンド』という存在だが、心意気は未だ捨ててないぞという男たちの憂愁の挽歌として、語り継がれるべき秀作である。

余談雑談 2017年9月30日
先週の土曜日は「秋分の日」。つまりは、秋のお彼岸。なので墓参りに行ってきた。 場所は千葉県松戸にあるのに東京都が運営する「都営霊園」。いつもは叔父さんの車に便乗しての墓参だが、叔父さんが患い、術後すぐなので今回はパス。母も腰を悪くし、回復傾