見ざる聞かざる目撃者 – SEE NO EVIL, HEAR NO EVIL(1989年)

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スタッフ
監督:アーサー・ヒラー
製作:マーヴィン・ワース
脚本:アール・バレット、アルネ・スルタン 他
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
音楽:スチュワート・コープランド

キャスト
ウォーリー / リチャート゛・プライヤー
ライオンズ / ジーン・ワイルダー
キルゴ / ケヴィン・スペイシー
イヴ / ジョーン・セヴェランス
サザーランド / アンソニー・ザーブ
ブラドック / アラン・ノース
アデル / キルスティン・チャイルズ
ガトリン / ルイ・ジャンバルヴォ
ミッツィー / ローレン・トム

日本公開: 1990年
製作国: アメリカ トライスター作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

前回紹介した「まごころを君に」(1968)は、知的障がい者と科学の進歩がもたらす弊害を描いていた。今回は二人の障がい者がメインで、打って変わってコメディである。しかも、かなり力技の。

アメリカ、ニュー・ヨーク目が見えないウォーリー(リチャード・プライヤー)は、妹のアデル(キルスティン・チャイルズ)を閉口させながらも自分が健常者のように振舞う男である。

そんな彼が、偶然、小耳に挟んだ新聞スタンドの求人募集に行った。そこはオフィスビルの一階にあるのだが、持ち主は目は見えるものの聴覚障害を持つライオンズ(ジーン・ワイルダー)。彼もバレバレなのに健常者の如く振舞う男だ。ただ、ライオンズは「読唇術」ができるので、正面で話してくれれば会話は成り立つ。ところが、応募してきたのが口八丁というか、デカイことだけを話す男だ。当然、普通の会話は成り立たない。

すると、外の通りを歩いていた男がウォ─リーを見つけた。彼は競馬のノミ屋で、その足でチャーリーに催促にやってきた。何とか誤魔化そうとするチャーリーだったが、今度は、いきなりノミ屋が慌てだした。彼を目指して入ってきたのは絶世の美女イヴ(ジョーン・セヴェランス)だ。

逃げようとするノミ屋を掴むと、二人が気をそらせているのを確認し、ノミ屋を射殺してしまった・・・

障がい者二人が繰り広げるコメディ・アクション。

視覚障がい者と聴覚障がい者。その双方とも健常者のように振舞う。

劣等感ゆえだろうか。そんな二人が殺人犯に間違われるが、お互い別々の僅かな記憶から真犯人を見つけだそうとする展開。

彼らに翻弄される警察陣に始まり、あっさりと真犯人が分かり、何故、ノミ屋が殺されたかも、いとも簡単にタネ明かししてくれる。

要は、主役二人のコメディ合戦が見所という内容。

このジーン・ワイルダーとリチャード・プライヤーのコンビに監督のアーサー・ヒラーは、本作の13年前に「大陸横断超特急」(1976)というスケール感溢れる佳作コメディを発表した面々。

柳の下のドジョウか、はたまた、夢よもう一度なのか分からぬが、結果、何とも締りのない作品になってしまった。

先ず、障がい者を主役に据え、『二人で一人前』的という設定自体が、妙な誤解を招く。

しかも見栄っ張りゆえ、完全に不可能だろうという、かなりドタバタしたアクション設定にしたり、ご都合主義も極まれりというスタンスも、これぐらいは大目に見てやろうや的で、逆に差別感を喚起させられる。

しかも、彼らの設定から目をそらすために警察をバカにした設定で、殺し屋たちも血も涙もないようでありながら、妙にセンチな部分もある。要はすべてが中途半端。

兎に角、観客の意識をなるべく障がい者を揶揄しないようにリードし過ぎ、すごく気を使っていることが、逆作用しているとも感じる。

主役二人の熱演は見ものだが、何故、この企画自体が通ったかという疑問を感じざるを得ない、笑うに笑えぬコメディ。

余談雑談 2017年12月23日
今年も残すところ一週間。こんな時期に来て、やっぱりな、という出来事が起きた。 ここでも書いたが、不調気味の実家のブルーレイ・レコーダーが、遂にディスク再生不可になった。 とはいっても、TV録画は出来て鑑賞は可能である。つまり、持ち込んだBD