南イタリアに特化したパン屋。昨今、新たな造語で言われる「裏神楽坂」とかいう場所にある。バイトの編集の帰り、月に一度程度、顔を出す。
元々はイタリア料理のシェフだったが、一念発起して2年間南イタリアの田舎町でパン職人として修業した個性的な人物が独りで切り盛りしている店。
その彼に、地元から近いでしょと紹介してもらった、上野というか、湯島にあるジェラート屋。普通にいえばアイスクリーム屋だ。
小さな小さな店舗で、イートイン・スペースなどなく、路上で食べる店。オーナーがヴェネツィア出身。たった独りで作って売る店でもある。
種類は日本でどこでも売っているメジャー系から、現地では有名だが、日本では浸透していないリキュールを使ったものなど、常時10種類はある。
当然へそ曲がりなので、最初から現地受けの良い商品を頼もうと、片言のイタリア語で話しかけたら、嬉しがって早口のイタリア語で返してきた。
これぞ、イタリア人だ。すかさず、イタリア経験者だろ、と解ったようなしたり顔で続けた。
ちゃんと語学として勉強したことはないが、イタリアに行っていた頃は英語など話せる現地の知人が少なく、ほぼイタリア語での会話だった。しかも、皆が早口。
なので、少しは会話ができるようになった。とはいえ、20年以上もイタリアには行っていない。かといって、あの言語の響きは好き。となれば、こちらでイタリア語に触れる機会は嬉しい。
その後、たまに顔を出すように。するとパン屋の店主で知人が、したり顔で言ってきた。やはり、気に入りましたか。
その後がいけない。実は、自分のところで作っている「ブリオッシュ」という種類のパンがあるんですが、イタリアでは、ジェラートを挟んで食すんですよね、と。
確かに、その手の店舗が東京に出来、若者を中心に人気を博していることは知っていた。パン屋もジェラート屋も、誇りを持ってやっているし、自分の口にも合っている。となれば、チェーン展開をしている既存の店よりも美味いだろう。
ただな、甘味系よりアルコール好き。とはいえ、そういうコラボは面白いかも。パン屋は、見本ですとひとつくれた。
何だよ、結局、自分が行って話をしてくれということか。まあ、良いか。
でも、この時期じゃ、路上で我慢大会だよな。