スタッフ
監督:ジョシュア・ローガン
製作:ウィリアム・ゲッツ
脚本:ポール・オズボーン
撮影:エルスワース・フレデリックス
音楽:フランツ・ワックスマン
キャスト
グルーヴァー大尉 / マーロン・ブランド
花荻 / 高美以子
アイリーン / パトリシア・オーエンズ
ケリー / レッド・バトンズ
カツミ / 梅木ミヨシ
ベイリー大尉 / ジェームス・ガーナー
ウェブスター将軍 / ケント・スミス
ウエブスター夫人 / マーサ・スコット
中村 / リカルド・モンタルバン
日本公開: 1957年
製作国: アメリカ ワーナー
作品
配給: ワーナー
あらすじとコメント
朝鮮戦争下の日本が舞台の作品で繋げる。前回はコメディだが、今回は真面目な恋愛ドラマ。アメリカの差別意識を感じさせる佳作。
日本、神戸空軍の撃墜王グル─ヴァー大尉(マーロン・ブランド)が、後方である日本の連絡部付に転属となった。
突然の移動に立腹したが、恋人アイリーン(パトリシア・オーエンズ)の父親の将軍が、日本で再会させようとした個人的な判断であった。
そんな彼に同行したのは整備部のケリー(レッド・バトンズ)で、彼は真剣に日本人女性カツミ(梅木ミヨシ)との結婚を考えていた。だが、軍部は日本人女性との結婚を不愉快に思っており、前途多難でもある。
自分には関係ないことだと感じていたグル─ヴァ-だが、宿舎で同室の海兵隊士官ベイリー(ジェームス・ガーナー)と一緒に外出した折、偶然「松林歌劇団」の存在を知る。
彼は、その中のトップスター花荻(高美以子)に、目を奪われ・・・
異文化への差別と理解を描くラブ・ロマンス作品。
空軍の英雄が幼馴染の恋人と再会し、まったく未知の異文化に触れて行く。
その過程で、差別の対象と蔑まされていた日本人女性と出会い、心が揺れて行く内容。
先の戦争での敗戦国であり、アメリカ人から野蛮人と思われている日本人。だが、アメリカと違い、歴史や文化があり、奥ゆかしい民族であると描きながら、感化される主人公が権力や差別と闘っていく。
日本人を理解しようとした作品としては、ごく初期の作品でもある。
被差別対象女性と結婚を夢見る部下を先ず登場させ、日本女性の奥ゆかしさと生活様式を描き、恋人を通して男性だけで演じる「歌舞伎」を紹介し、今度は女性だけの歌劇団を登場させる。
そのすべてが主人公には驚きであるが、歌劇団のトップスターに恋したあたりから三角関係が発生し、日本シンパと無理解な人間たちの対比が描かれていく。
「宝塚」がネーミング使用を拒否したのは仕方ないとしても出演陣は、実に興味深い。
どうにもブランドのメソッド演技は鼻に付くが、部下役の大好きな脇役レッド・バトンズと妻役のナンシー・梅木は双方がアカデミー助演賞を受賞したのも頷ける名演。
更にはメキシコ系のリカルド・モンタルバンが歌舞伎役者という日本人役に挑戦し、長身過ぎたり、無理なメークで苦笑を禁じ得ないが、歌舞伎を踊る場面は、かなり稽古を積んだようで、素直に拍手を送る。
情報が少ない時代。また、極東アジアの小国など一般アメリカ人にとっては、どうでもいい国だったであろう。
それでもアメリカとは全く異なる意識と行動様式を紹介した点に於いては、意義があると感じる。
当然、失笑モノや国辱的なシーンもあるが、当時としては、実に真摯に好感を持って描かれた作品である。