スタッフ
監督:アーサー・ヒラー
製作:マーティン・ランソホフ
脚本:バディ・チェイエフスキー
撮影:フィリップ・ラスロップ
音楽:ジョニー・マンデル
キャスト
マディソン少佐 / ジェームス・ガーナー
エミリー / ジュリー・アンドリュース
ジェサップ提督 / メルヴィン・ダグラス
カミングス少佐 / ジェームス・コバーン
スパウディング大佐 / ウィリアム・ウィンダム
ヘアリー提督 / エドワード・ビンス
老水兵 / キーナン・ウィン
アダムス / ジョン・クロフォード
若い女性 / シャロン・テート
日本公開: 1965年
製作国: アメリカ フィルムウェイ・ピクチャーズ作品
配給: MGM
あらすじとコメント
「サヨナラ」(1957)で、出ずっぱりなのに印象が薄い脇役で出演していたジェームス・ガーナー。それ以降、戦争モノかコメディ作が多かった。ならば、その両方で主演した作品にしてみた。
イギリス、ロンドン第二次大戦下で、連合軍によるノルマンデイー上陸作戦が間近になった頃。海軍所属のマディソン少佐(ジェームス・ガーナー)は、アメリカから参集してくる提督や上級武官の接待係である。
以前は先頭に立ち奮迅していたが、実は臆病だと自覚し、以後、後方で命に関わらないポジションが向いていると思っての志願であった。彼はイギリス女性で、担当運転手エミリー(ジュリー・アンドリュース)に惹かれていたが、彼女は家族を戦争で失い、消沈中。しかも、エミリーの方は、彼の戦時下とは思えない軽率な言動に少々、閉口気味でもあった。
そんな折、ジェサップ提督(メルヴィン・ダグラス)が来英してくる。マディソンは酒から女性と、色々と接待を開始する。だが、提督は、自国海軍の優位性を顕示するべく、目前に迫った上陸作戦で海軍技術部隊の敵陣破壊活動を撮影し、宣伝に使用しようと思い付く。
そして白羽の矢が立ったのはマディソンと親友カミングス少佐(ジェームス・コバーン)で・・・
後方でテキトーに活動していた男が直面する戦争を描くコメディ。
臆病者だから、後方で弾の飛んでこないポジションに就いた主人公。親友も同じ感覚で、戦争などお構いなしに楽しんでいる。
ありがちな設定ではある。そこに主人公と恋仲になるイギリス人女性と真面目だか不真面目なのか解らない提督が絡んでくる。
「臆病は美徳で、兵士が皆勇猛だったら世界中から男がいなくなるぞ」と平気で言う主人公。
そんな主人公が問題発生ごとに親友の部屋に相談に行くと、毎回ベッドにいる相手女性が違う。
何とも人を喰った設定である。ところが、提督に真っ先に上陸し、戦意発揚映画を作れと命じられたから、何とか、それを回避しようとする展開になる。
ただし、アーサー・ヒラー監督の演出は、どうにも真面目。タッチと内容のギャップを楽しませようとする作劇である。
主人公が冒頭から女性たちの尻を触り、アメリカ女性はニヤニヤするが、イギリス女性のヒロインはいきなりビンタを喰らわす。
現在ならセクハラ騒ぎの対象だろう。そういった時代がかった進行である。
そんな主人公が、一番乗りを命じられるのがオマハ・ビーチで、「史上最大の作戦」(1962)では、ロバート・ミッチャムが攻略に苦心した砂浜。
主演のガーナーとジェームス・コバーンは本作の前年「大脱走」(1963)に引き続いての共演。
観る側は、当然コメディではなく、ヒーローの復活劇とか、アクションやらを連想したに違いない。ある意味、作劇法はそれらしいが、内容とのトーンが違い過ぎる。
また、ヒロインのジュリー・アンドリュースは本邦初陣であり、同年に「メリー・ポピンズ」(1964)、翌年に「サウンド・オフ・ミュージック」(1965)で大スターと認知されていく。
それなりのキャストで反戦的意味合いを込めて描かれるコメディなのだが、何とも中途半端。
という訳で、埋もれた感が否めない作品。この内容で2時間の上映時間は長過ぎるし。