スタッフ
監督:マーヴィン・チョムスキー
製作:アーウィン・ヤブランス
脚本:ダン・ゴードン
撮影:ドン・バーンクラント
音楽:ラロ・シフリン
キャスト
ザック / ジェームス・ガーナー
ラドンナ / シャーリー・ジョーンズ
ビリー / C・トーマス・ハウエル
エリオット / マーク・ヘリアー
サラ / ジェニリー・ハリソン
ヒュービック将軍 / サンディー・ウォード
ユークリッド / ジェームス・クロムウェル
ティペット軍曹 / ドリアン・ヘイウッド
ビューエルトン / G・D・スプラドリン
日本公開: 1984年
製作国: アメリカ ロリマー・プロ作品
配給: CIC
あらすじとコメント
ジェームス・ガーナー主演の軍隊モノで繋げる。戦時下の偶発的なヒーローでなく、ある種の英雄を演じているのが同じ。どこか牧歌的なわかりやすい好編。
アメリカ、ジョージア退役間近のヴェテラン下士官ケーリー(ジェームス・ガーナー)が、妻と次男ジミー(C・トーマス・ハウエル)の三人で最後の勤務地にやってきた。
そんな彼は名戦車シャーマンを牽引してきて兵士たちを驚かせた。何せ、その戦車は第二次大戦で大活躍したが、とっくに現役引退したタイプで、動くタンクとしては現存する最後のものだったからだ。それをケーリーは何度も修理し、大事に扱っていた。
彼はリタイア後は漁船を買い、釣りをして余生を送るのが夢。家族思いの優しい男ではあるが、訓練教官の時は鬼になるタイプ。
ある晩、町の酒場に出向いた彼は、保安官助手が売春婦ラドンナ(シャーリー・ジョーンズ)相手に暴力を振るう姿に、つい手を上げてしまった。すぐさま、友人の憲兵に申告し示談金を支払うと告げに言ったが、友人は困惑の表情を浮かべた。
何故なら、殴った相手の上司、保安官ビューエルトン(G・D・スプラドリン)という男は・・・
悪徳保安官相手に正義の鉄拳を振るおうとする男を描く好編。
古参兵で、昔気質の軍人。街の酒場で同席していた女性が保安官助手に殴りつけられるのを見て、逆に殴り倒したことで、その地を牛耳る悪徳保安官に目を付けられる。
自分にも非があることを認め、示談に持ち込もうとするとするが、法外な金額を提示される。
正に絵に書いたような悪役である。当然、次々と保安官が窮地に追い込んで行き、遂に堪忍袋の緒が切れた主人公が戦車を持ちだして大騒動を起こしていくという内容。
誰が観てもわかりやすい設定と進行。娯楽の王道の作りであり、勧善懲悪。
古臭い男と古臭い戦車。老人とはいわないが、壮年男の心意気。
完全に昭和時代の日本人男性が好きな東映任侠映画の世界である。つまり、考えさせるのではなく、人間の感情にストレートに迫ってくる作品である。
ホンモノの戦車が疾走し実弾まで撃つが犠牲者は一切ださないのも、感情移入がしやすいだろう。
落し所も、任侠映画と違って、アメリカ人ならば、それしかないよなというランディング。
何よりも、昔懐かしいシャーマン戦車が細かく描かれていて、「家族」であり「家」という扱いなのが興味深い。
このあたりも日本の男一匹と違い、家族愛が優先され、家族が違う角度から援護射撃するスタイル。
しかも、戦車一台がどれほどの圧倒的な存在かと見せてくれるし、次々に登場して来るサブキャラも、敵か味方か一目瞭然というのもわかりやすい。
観客に主人公家族の心意気を植え付け、まるでスポーツ観戦のような趣で、誰もが応援したくなる様な作品。
大した作品ではないが、気分転換には持って来いの映画である。