踊れトスカーナ! – IL CICLONE(1996年)

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スタッフ
監督:レオナルド・ピエラッチョーニ
製作:ヴィットリオ&リタ・チェッキ・ゴーリ
脚本:ジョヴァンニ・ヴェロネージ、L・ピエラッチョーニ
撮影:ロベルト・フォルツァ
音楽:クラウディオ・グイディティ

キャスト
クアリーニ / レオナルド・ピエラッチョーニ
カテリーナ / ロレーナ・フォルテーザ
セルヴァッジャ / バルバラ・エンリーキ
リベロ / マッシモ・チェッケリーニ
オスヴァルド / セルジオ・フォカーニ
カリーナ / トスカ・ドアクィーノ
マルドーネ / アレッサンドロ・アベル
ピッポ / パオロ・ヘンデル
ペネロペ / ナタリア・エストラーダ

日本公開: 1999年
製作国: イタリア M&V・チェッキ・ゴーリ 作品
配給: ブエナビスタ


あらすじとコメント

今回も、真面目な男が周囲の人間に翻弄されながら恋愛を繰り広げるイタリア製コメディにしてみた。牧歌的で、のどかさを感じさせる、何とも微笑ましい作品。

イタリア、トスカーナフィレンツェから南東50キロほど離れた田園地帯。小さな町で3割以上の顧客を持つ会計士クアリーニ(レオナルド・ピエラッチョーニ)だが、真面目な性格が災いして恋人がいなかった。

そんな彼に一方的に惚れている女性もいるにはいるが、どうにも色気ばかり強調し、妄想癖もあるので閉口していた。

住まいは田園地帯にあり、ブドウ農園を営む父親と、同性愛者の妹、自称芸術家の弟と四人家族だ。彼以外は、どうにも奇妙な人間ばかりだが、それでもクアリーノは家族皆を愛している心優しい男。

ある夜、見知らぬ一台のバスが道に迷い、彼らの家に電話を借りにやって来た。一行はスペインから来たフラメンコ一座で、予約再確認を怠ったので、今晩宿泊予定のホテルがキャンセル扱いされていると知る。塞ぎ込む団長だったが、他のメンバーも降りてきて何とか一晩ここに泊めてくれないかと懇願される。

その中にダンサーのカテリーナ(ロレーナ・フォルテーザ)がいて・・・

牧歌的リズム感で繰り広げられるおかしな人間たちの恋模様を描く好編。

のどかだが、閉塞的な小さな社会のみがある場所。真面目な主人公は面白味に欠ける。妹は同性愛者で、弟はイカレた男。

町にも下品で変わった性癖を自慢する男やら、同性愛者はまだ認知されていないと公言できずに塞ぎ込む女性などがいる。

面白いのは、そんな訳アリ人間たち誰もに普通に接する主人公の存在。そんな彼の住まいに、闖入してくるスペイン人のフラメンコ一座。一行の中にも様々な人間がいて、主人公の他にも、田舎町の人々に様々な波風を立ていくという展開。

大げさな展開や早いテンポはなく、のどかで牧歌的な印象。イタリアの喜劇は、日本人には相容れない作品も多い。それは、男も女も情熱的で、直情型が多く、感情移入しづらいからだろう。

その点、本作は、「変わり者」も多く登場するが、性癖を差別的に揶揄したりせず、普通の人間として描いていく眼差しが心地良いのでノリやすいだろう。

他人の生活や価値観に当然の如く入り込んで来ようとするし、かといって人は良いという、田舎ならではの人物描写も、どこの国も同じだなと微笑ましくなる。

確かに、闖入者らは異国人だが、同じラテン系でもあり、文化風習は違うが、どこか理解しやすいのか。ある意味、これが同国の都会派であったら別な展開になるだろうなとも感じる。

異文化交流でもあり、イタリアの人間よりも情熱的だし、相手を受け入れる度量も違うが、そこは人間同士という解りやすい設定進行でもある。

それぞれを演じる役者も自然で上手いし、葛藤も感じさせるが、決して深刻ぶらないところが、歴史ある場所で脈々と流れてきたDNAというか、「大人」としての人間を感じさせる。

それでも、恋に不器用な人間も多く、心優しさが前面に押しだされ、そのあたりは、こちらの心にも違和感なく入り込んでくる。

バイタリティがあるようでなく、だが、芯はしっかり持っている「変わり者」たちのユーモラスな人生を嗅ぎ取れる良質のコメディ。

余談雑談 2018年6月30日
おやっという間に梅雨明けした東京。まだ6月だぜ。これからどれほどの暑い夏が居座るのか。 今年は暑いと言われているが、既に充分実感している。こういう時は、涼しい部屋で店番時の暇潰し用TV録画鑑賞に限る。現在は改編期でドラマはないので、情報系か