白い酋長(未) – LO SCEICCO BIANCO(1951年)

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スタッフ
監督:フェデリコ・フェリーニ
製作:ルイジ・ロヴェーレ
脚本:フェデリコ・フェリーニ
撮影:アルトゥーロ・ガッレア
音楽:ニーノ・ロータ

キャスト
カヴァッリ / レオポルド・トリエステ
ワンダ / ブルネッラ・ボーヴォ
リヴォリ / アルベルト・ソルディ
カビリア / ジュリエッタ・マッシーナ
フォルトゥーナ / エルネスト・アルミランティ
フェルガ / リリア・ランディ
マリレーナ / ファニー・マルキオ
アイーダ / ジーナ・マッシェッティ
フリオ / エンツォ・マッジオ

日本公開: 未公開
製作国: イタリア P・D・CーO・F・I作品
配給: なし


あらすじとコメント

フェリーニ監督の愛妻ジュリエッタ・マッシーナがチョイ役で出演した初期の未公開作品を選んでみた。田舎から新婚旅行に来たカップルに起きる悲喜劇を描いたコメディ。

イタリア、ローマ70キロほど離れた田舎町から新婚旅行でローマにやって来たカヴァーリ(レオポルド・トリエステ)とワンダ(ブルネッラ・ボーヴォ)。

カヴァーリは、バチカンで法王による謁見や、こちらで暮らす親戚らとの顔合わせ食事会やら、観光スポット巡りと分刻みのスケジュールを立てていた。しかし、新婦のワンダは何やらソワソワ状態。

夫の隙を見て、ホテルのボーイにとある場所を尋ねた。そこはホテルから10分ほどの場所とわかり、夫に風呂に入るから、その間、ベッドで休息していてと告げる。カヴァーリは今後のスケジュールがタイトだし、何と心優しい妻かと笑みを浮かべて横になった。すると、彼女はバスルームから逃げだし目的地へと一目散。

しかし、彼女は一通の手紙を落としていった。そこには、ローマに来たら是非会いたい、『白い酋長』より、と書いてあった。

何とか辿り着くが、そこは何やら慌ただしい雰囲気で、しかもアラビア人の格好をした人間が多くいた。そして、『白い酋長』とは・・・

田舎者の新婚夫婦が繰り広げる因果応報的なコメディの佳作。

田舎者だが、古いしきたりや風習、そして何よりも『血族の名誉』を優先する新郎。

当然、古式ゆかしき価値観の持ち主で、妻は新婚初夜まで純潔であることを重んじる。更には、イタリア人なのに真面目で時間まで厳守するような男なのだが、どう見ても二枚目ではない。

その上、初めての都会で田舎者と思われないようにスマートに立ち振る舞おうとするから始末に悪い。一方の新婦は、かなりの美人。当然、処女で、しかも純情無垢。

その彼女が夫の目を盗んで会いに行く相手は、何と映画俳優。

親切に彼女のファンレターに一々、返信してきていたから、心は舞い上がっているのである。

ところが、出向いた先が映画会社で、丁度これからロケに出発するところ。

彼女の熱狂的ファン度を気に入り関係者が主演男優とはロケ地合流だとばかりに、ならばと、何も解らぬままトラックに乗せられ海まで連れて行かれたから、さあ大変という展開。

当然、夫は突然行方不明になった妻に慌てる。しかも会いに来てなどと書いてある手紙を見つけるから、更に心乱れるのだ。

それからは夫婦別々に、災難に巻き込まれていく進行。

いかにも当時のバタ臭いイタリア喜劇と、妙に軽妙な語り口、そしてサスペンスすら漂わす。

フェリーニ初期の作品なのだが、それでも、後年のフェリーニらしさである「曲芸師」が、唐突に登場してくるから、何とも彼らしさがあり心地良い。

しかもそこに絡むのは彼の妻で、フェリーニ作品には欠かせないジュリエッタ・マシーナだから堪らない。

少女の憧れの二枚目スターの実態や映画関係者の無軌道ぶり、血族優先という価値観によるストレス、地方と都会の環境の違いによる翻弄など、様々な要素が上手く絡み、かといって軽すぎないコメディの佳作である。

余談雑談 2018年7月14日
長く通うとんかつ屋。「朝顔市」で有名な入谷鬼子母神近くの車も通れぬ路地にある。本店は浅草で超有名店だったが30年も前に閉店している。 とんかつも人気で特化したガイド本まで何冊も出ているし、「ロース」や「ヒレ」といった部位、揚げ方等にまでこだ